ICP-OESにより測定した国産玄米無機元素含量の産地間の変動,品種間変異及び収穫年による変動
コメの産地判別法のうち,無機元素組成を用いる方法について,品種と収穫年による影響について検討した.2000年産,2001年産及び2002年産の3年分の産地と品種の明らかな国産玄米を供試し,ICP-OESによりP,K,Mg,Ca,Mn,Zn,Na,Fe,Cu,Mo,Ba,Sr,Ni,Cdを測定した.良食味米を中心とした国内育成品種の品種間変異と国内産地間の変動を比較したところ,P,K,Mgは同等または品種間変異のほうが大きい傾向が認められたが,これらより微量の元素では,品種間変異より国内産地間の変動が明らかに大きかった.二元配置分散分析の結果,2000〜2002年の収穫年に,Kはp<0.0...
Saved in:
Published in | 分析化学 Vol. 74; no. 3; pp. 117 - 125 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
05.03.2025
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | コメの産地判別法のうち,無機元素組成を用いる方法について,品種と収穫年による影響について検討した.2000年産,2001年産及び2002年産の3年分の産地と品種の明らかな国産玄米を供試し,ICP-OESによりP,K,Mg,Ca,Mn,Zn,Na,Fe,Cu,Mo,Ba,Sr,Ni,Cdを測定した.良食味米を中心とした国内育成品種の品種間変異と国内産地間の変動を比較したところ,P,K,Mgは同等または品種間変異のほうが大きい傾向が認められたが,これらより微量の元素では,品種間変異より国内産地間の変動が明らかに大きかった.二元配置分散分析の結果,2000〜2002年の収穫年に,Kはp<0.001,Moにp<0.01,CaとNaにp<0.05で有意な差が認められたが,ほかの元素では差が検出されなかった.ただし,異常気象の年は影響が大きい可能性があり,さらに主要な栽培品種の変化及び世界的な気候変化の影響も予測されることから,判別モデルの構築後もフォローアップが必要と判断される. |
---|---|
ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.74.117 |