右室流出路起源心室頻拍と鑑別を要したヒス束近傍の異常自動能による心室頻拍を疑われた1例

症例は81歳, 男性. 主訴はめまい, 胸部違和感. 検診の心電図で13連発の左脚ブロック(LBBB)下方軸のnarrow QRS波形からなる心室頻拍(VT)を認めた. このため精査目的で当院受診. 胸部違和感, 心室頻拍加療目的で冠動脈造影, 電気生理学的検査を施行. 冠動脈造影では右冠動脈末梢に軽度狭窄を認めた. 左冠動脈にエルゴノビン25µg投与したところ, 攣縮が誘発された. その後, 電気生理学的検査を施行した. 心電図で記録されたVT波形はその1拍目から単形性であり, プログラム刺激でもVTは誘発されず, 脚枝間リエントリーは否定された. CARTOマッピングを行ったところ, 右室...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 42; no. SUPPL.4; pp. S4_123 - S4_128
Main Authors 中村, 健太郎, 高野, 奈実, 村田, 将光, 笠岡, 祐二, 西村, 健二, 中川, 貴史, 瀬崎, 和典, 鈴木, 文男, 村川, 裕二, 速水, 紀幸, 池田, 隆徳, 吉野, 秀朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は81歳, 男性. 主訴はめまい, 胸部違和感. 検診の心電図で13連発の左脚ブロック(LBBB)下方軸のnarrow QRS波形からなる心室頻拍(VT)を認めた. このため精査目的で当院受診. 胸部違和感, 心室頻拍加療目的で冠動脈造影, 電気生理学的検査を施行. 冠動脈造影では右冠動脈末梢に軽度狭窄を認めた. 左冠動脈にエルゴノビン25µg投与したところ, 攣縮が誘発された. その後, 電気生理学的検査を施行した. 心電図で記録されたVT波形はその1拍目から単形性であり, プログラム刺激でもVTは誘発されず, 脚枝間リエントリーは否定された. CARTOマッピングを行ったところ, 右室流出路は広範に低電位であり捕捉されなかった. Perfect pace mapはヒス束電位記録部位の近傍で得られた. ヒス束を傷害することに焼灼によるVTの根治は不可能と判断した. Ca拮抗薬, 亜硝酸薬, β-blockerを注意深くモニターしながら投与したところVTは消失した. ICDの植え込みは患者が希望せず行っていない. 造影MRIを施行したところ, 左室中隔のmid layerにlate gadolinium enhancementによる瘢痕像が認めた. VTの機序としてヒス束近傍の心筋の自動能亢進が疑われ興味深い症例であるので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.S4_123