女性医師のキャリア選択 : 病院/診療所選択の男女比較

本稿では、女性医師が病院と診療所のどちらを自身の勤務先として選択するかを、男性医師の選択と比較しつつ、世代別に分析する。使用するデータは、平成10年、12年、14年、16年度版「医師・歯科医師・薬剤師調査」の年齢別マクロデータおよび年齢階級別都道府県データである。マクロデータによると、病院勤務から離脱する年齢は女性のほうが低い。都道府県データを用いてパネルデータ分析による推定を行うと、50歳代以下の全ての世代で、女性医師は男性医師に比べてより病院から診療所へ勤務先を移していることがわかる。一方、診療所から病院への移動は男女ともほぼない。近年、病院勤務医が不足しているかもしれないということが問題...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in保健医療社会学論集 Vol. 19; no. 2; pp. 94 - 104
Main Author 川村, 顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本保健医療社会学会 15.02.2009
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:本稿では、女性医師が病院と診療所のどちらを自身の勤務先として選択するかを、男性医師の選択と比較しつつ、世代別に分析する。使用するデータは、平成10年、12年、14年、16年度版「医師・歯科医師・薬剤師調査」の年齢別マクロデータおよび年齢階級別都道府県データである。マクロデータによると、病院勤務から離脱する年齢は女性のほうが低い。都道府県データを用いてパネルデータ分析による推定を行うと、50歳代以下の全ての世代で、女性医師は男性医師に比べてより病院から診療所へ勤務先を移していることがわかる。一方、診療所から病院への移動は男女ともほぼない。近年、病院勤務医が不足しているかもしれないということが問題となっているのは、経験を積んだ病院勤務医が診療所を開業するという以前からの傾向が、近年になってより増大してきたからであると言われている。本稿の結果から、女性医師数の増加がこの傾向に寄与していることが示唆される。
ISSN:1343-0203
2189-8642
DOI:10.18918/jshms.19.2_94