片側性唇顎口蓋裂症例におけるLe Fort I型骨切り術に伴う鼻部の形態変化
これまで一般の顎変形症患者に関しては,上顎骨LeFortI型骨切り術に伴い鼻部の形態が変化することは報告されているが,唇顎口蓋裂患者に関する報告は少ない。今回我々は,片側性唇顎口蓋裂患者において上顎骨LeFortI型骨切り術を施行した症例の,術前後における鼻部の形態変化について検討した。研究対象は,新潟大学歯学部附属病院にて外科的矯正治療が行われた片側性唇顎口蓋裂患者のうち,上顎骨LeFortI型骨切り術が施行された13名(男性4名,女性9名)である。また,対照群として唇顎口蓋裂を有さない顎変形症患者(骨格性下顎前突症)のうち上下顎移動術が施行され,上顎骨を前方もしくは前下方に移動した19名(...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 28; no. 3; pp. 203 - 211 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
30.10.2003
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.28.3_203 |
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Summary: | これまで一般の顎変形症患者に関しては,上顎骨LeFortI型骨切り術に伴い鼻部の形態が変化することは報告されているが,唇顎口蓋裂患者に関する報告は少ない。今回我々は,片側性唇顎口蓋裂患者において上顎骨LeFortI型骨切り術を施行した症例の,術前後における鼻部の形態変化について検討した。研究対象は,新潟大学歯学部附属病院にて外科的矯正治療が行われた片側性唇顎口蓋裂患者のうち,上顎骨LeFortI型骨切り術が施行された13名(男性4名,女性9名)である。また,対照群として唇顎口蓋裂を有さない顎変形症患者(骨格性下顎前突症)のうち上下顎移動術が施行され,上顎骨を前方もしくは前下方に移動した19名(すべて女性)との比較を行った。資料として,手術直前と術後6か月以上経過時に撮影された側面頭部X線規格写真および正貌顔面写真を用いて検討した。 結果として,1.唇顎口蓋裂群の術前における上顎骨(A点)の水平的位置は,対照群に比べて後方位にあり,上顎骨の劣成長が強い傾向を示していた。2.唇顎口蓋裂群の術前における鼻部形態は,鼻背角(∠1),鼻尖角(∠3)が小さく,鼻底角(∠2)は大きい値を示した。これは,鼻背の前方への突出傾向が弱く,鼻の上向き傾向も弱いことを示す。また,対照群に比べて鼻尖部は鋭角な形態を示していた。3.唇顎口蓋裂群の上顎骨の移動量に対する鼻下点(Sn)の変化量は,対照群よりも大きい値を示した。4.術前における唇顎口蓋裂群の鼻翼幅径は対照群に比べて拡いが,術後の変化量は小さかった。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.28.3_203 |