単クローン性抗Leu-M1抗体による腎細胞癌の免疫組織化学的検討

Leu-HM1は近位尿細管細胞の有用なマーカーであることが明らかにされたため, 単クローン性抗Leu-M1抗体を用いた免疫組織化学的技法により腎細胞癌組織におけるLeu-M1発現度を検索し, 腎細胞癌の組織発生を検討した. 全割面標本を作製した25例を対象とした. Leu-M1陽性例は low grade 症例 (G1, G2) では16例中14例, high grade 症例 (G3, G4) では9例中3例であったため, low grade の腎細胞癌の大部分は近位尿細管細胞由来と考えられた. 組織学的異型度が高くなるにつれLeu-M1は消失する傾向を認めた. Leu-M1を認めた hig...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 7; pp. 1246 - 1251
Main Authors 仙賀, 裕, 里見, 佳昭, 福田, 百邦, 絵鳩, 哲哉, 穂坂, 正彦, 田中, 祐吉, 三杉, 和章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1987
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Summary:Leu-HM1は近位尿細管細胞の有用なマーカーであることが明らかにされたため, 単クローン性抗Leu-M1抗体を用いた免疫組織化学的技法により腎細胞癌組織におけるLeu-M1発現度を検索し, 腎細胞癌の組織発生を検討した. 全割面標本を作製した25例を対象とした. Leu-M1陽性例は low grade 症例 (G1, G2) では16例中14例, high grade 症例 (G3, G4) では9例中3例であったため, low grade の腎細胞癌の大部分は近位尿細管細胞由来と考えられた. 組織学的異型度が高くなるにつれLeu-M1は消失する傾向を認めた. Leu-M1を認めた hig hgrade 症例は治療に良く反応し比較的予後良好であった. grade 1の陰性例1例に遠位尿細管細胞のマーカーである Tamm Horsfall muco-protein の存在が認められ, 遠位尿細管細胞由来と推定された. Leu-M1はホルマリン固定材料で検出可能であり, 腎細胞癌の組織化学的検索に有用なマーカーになると思われた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.78.7_1246