持続性心房細動治療中のベプリジル血中濃度と心電図指標との相関の検討

背景:ベプリジル(Bep)は有用な抗不整脈薬であるが,長期使用中のtorsades de pointes(TdP)発症に留意する必要がある.Bep血中濃度測定は作用のモニタリングに有用であるが,随時の評価が困難であり,臨床応用には限界がある.今回,われわれは持続性心房細動(PAF)にBepを使用した症例において,Bep血中濃度と心電図指標との相関を評価した. 方法:基礎心疾患のないPAFで,除細動目的にBep(100~200mg)を投与した43例において,延べ180点で心電図指標〔心拍数,QT間隔,細動周期長(FCL),T波形態〕とBep血中濃度を評価した.FCLは細動波のFFT解析から算出し...

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Published in心臓 Vol. 44; no. SUPPL.3; pp. S3_108 - S3_116
Main Authors 及川, 淳, 庭野, 慎一, 石川, 尚子, 庭野, 裕恵, 佐藤, 陽, 岸原, 淳, 上野, 和行, 青山, 祐也, 和泉, 徹, 村上, 雅美, 黒川, 早矢香, 湯本, 佳宏, 弓削, 大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.S3_108

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Summary:背景:ベプリジル(Bep)は有用な抗不整脈薬であるが,長期使用中のtorsades de pointes(TdP)発症に留意する必要がある.Bep血中濃度測定は作用のモニタリングに有用であるが,随時の評価が困難であり,臨床応用には限界がある.今回,われわれは持続性心房細動(PAF)にBepを使用した症例において,Bep血中濃度と心電図指標との相関を評価した. 方法:基礎心疾患のないPAFで,除細動目的にBep(100~200mg)を投与した43例において,延べ180点で心電図指標〔心拍数,QT間隔,細動周期長(FCL),T波形態〕とBep血中濃度を評価した.FCLは細動波のFFT解析から算出した. 結果:Bep血中濃度は86~1,463ng/mL値を示し,QT間隔とFCLと正の相関(QT;r=0.204,p=0.006,FCL;r=0.413,p<0.001),心拍数と負の相関(r=−0.218,p=0.005)を認めた.T-U波形態については,二峰性,二相性Tの有無でBep濃度に差を認めた(二峰性 あり/:557±297 vs 374±227 ng/mL,p=0.007;二相性 あり/;541±277 vs 379±232ng/mL,p=0.032).ロジスティック解析では,800ng/mL上の血中濃度はFCL>182msにより感度75%,特異度77%で,二峰性Tあり,により感度33%,特異度94%で推定可能であった. 結語:Bep血中濃度はFCL,T波形態などの心電図指標により,過剰な作用が推定できる可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.S3_108