日本人口唇裂口蓋裂者の歯冠幅径について

• Published in: 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 20; no. 3; pp. 108 - 118
• Main Authors: 鈴木, 陽, 河野, 紀美子, 寺田, 久美子, 中野, 誠之
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本口蓋裂学会 31.07.1995
• Subjects: 口唇裂口蓋裂; 模型分析; 歯冠幅径
• ISSN: 0386-5185; 2186-5701
• DOI: 10.11224/cleftpalate1976.20.3_108

口唇裂口蓋裂者の歯冠幅径の実態を明らかにするために,九州大学歯学部附属病院矯正科を受診した口唇裂口蓋裂者のうち経年的歯列模型のそろっている189名(男性103名,女性86名)を研究対象として,乳歯および永久粛の歯冠幅径(近遠心径ならびに臼歯顛舌径)を計測し,以下の結果を得た. 1.健常者と同様に,男女間では性差が認められ,左右側の歯冠幅径に差は認められなかった. 2.破裂側歯と非破裂側歯との比較では,上顎爵の歯冠近遠心径に有意差が認められたが,下顎歯には差はなかった. 3.口唇裂口蓋裂者の粛冠幅径を健常者と比較すると,前歯では口唇裂口蓋裂者の上下顎乳前歯・下顎永久前歯は大きいが,上顎永久側切歯は小さかった.臼歯は乳歯列・永久歯列共に,口唇裂口蓋裂者の方が小さかった. 4.上下顎歯列弓内における歯の酋冠近遠心径の相関は,乳粛列・永久歯列共に破裂側歯の方が非破裂側歯より低かった.特に破裂側上顎永久側切粛は,他のどの歯とも有意な相関を示さなかった.