Pembrolizumabで長期完全奏効が得られている上行結腸癌同時性脳転移術後再発の1例

背景:脳転移を伴う大腸癌は極めて予後不良である.今回,上行結腸癌同時性脳転移術後再発に対してPembrolizumabで長期完全奏効を得ている症例を経験した.症例:70歳女性.左上肢の痙攣を主訴に近医を受診した.全身精査で右前頭葉腫瘍と上行結腸壁肥厚を認め当院紹介.下肢麻痺が進行し緊急開頭腫瘍切除を施行し病理検査で大腸癌脳転移と診断された.その後の精査で,回盲部に全周性の2型病変,周囲リンパ節の腫大を認め,上行結腸癌cT4aN2bM1a(brain)cStageIVの診断で腹腔鏡下右半結腸切除を施行した.術後5ヵ月目に後腹膜再発をきたした.遺伝子検査でMSI-Hが判明し,Pembrolizum...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 5; pp. 247 - 251
Main Authors 小野, 李香, 富永, 哲郎, 野中, 隆, 森山, 正章, 小山, 正三朗, 石井, 光寿, 濱崎, 景子, 荒井, 淳一, 澤井, 照光, 永安, 武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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Summary:背景:脳転移を伴う大腸癌は極めて予後不良である.今回,上行結腸癌同時性脳転移術後再発に対してPembrolizumabで長期完全奏効を得ている症例を経験した.症例:70歳女性.左上肢の痙攣を主訴に近医を受診した.全身精査で右前頭葉腫瘍と上行結腸壁肥厚を認め当院紹介.下肢麻痺が進行し緊急開頭腫瘍切除を施行し病理検査で大腸癌脳転移と診断された.その後の精査で,回盲部に全周性の2型病変,周囲リンパ節の腫大を認め,上行結腸癌cT4aN2bM1a(brain)cStageIVの診断で腹腔鏡下右半結腸切除を施行した.術後5ヵ月目に後腹膜再発をきたした.遺伝子検査でMSI-Hが判明し,Pembrolizumabを開始したところ,腫瘍マーカーは速やかに正常化し,再発巣の著明な縮小を認めた.再発後1年のPET-CTでは集積も消失し完全奏効と判定した.現在,再発後1年9ヵ月の経過で無増悪生存中である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.247