鼻咽腔ファイバー所見における鼻咽腔閉鎖動態

1992年2月から1995年3月までに昭和大学藤が丘リハビリテーション病院および昭和大学形成外科を受診した4歳10カ月から17歳2カ月の口蓋裂患者35例(両側唇顎口蓋裂12例,片側唇顎口蓋裂12例,口蓋裂単独11例)に鼻咽腔ファイバー検査を行い,/a/,/i/,/P/,/∫/産生時の閉鎖のタイプと,検査音による閉鎖の程度の差について,言語治療士による聴覚判定結果と併せて検討し,以下の結果を得た。 1.閉鎖のタイプとして,軟口蓋主動型,側壁主動型,軟口蓋・側壁型,軟口蓋・側壁・後壁型の4タイプが観察された。 2.軟口蓋主動型はすべて,開鼻声群,またはごく軽度にあり群であったが,他の3つのタイプの...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 20; no. 4; pp. 172 - 180
Main Authors 大久保, 文雄, 加藤, 正子, 河原, 明子, 岡崎, 恵子, 今富, 摂子, 角谷, 徳芳, 出世, 富久子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 31.10.1995
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.20.4_172

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Summary:1992年2月から1995年3月までに昭和大学藤が丘リハビリテーション病院および昭和大学形成外科を受診した4歳10カ月から17歳2カ月の口蓋裂患者35例(両側唇顎口蓋裂12例,片側唇顎口蓋裂12例,口蓋裂単独11例)に鼻咽腔ファイバー検査を行い,/a/,/i/,/P/,/∫/産生時の閉鎖のタイプと,検査音による閉鎖の程度の差について,言語治療士による聴覚判定結果と併せて検討し,以下の結果を得た。 1.閉鎖のタイプとして,軟口蓋主動型,側壁主動型,軟口蓋・側壁型,軟口蓋・側壁・後壁型の4タイプが観察された。 2.軟口蓋主動型はすべて,開鼻声群,またはごく軽度にあり群であったが,他の3つのタイプの開鼻声の程度は様々であった。 3.閉鎖のタイプと年齢との間に一定の関係は認められなかった。 4. 2回検査を行った症例のうち,閉鎖のタイプが変化した症例はなかった。 5.閉鎖の程度に検査音による差がない症例は,開鼻声の群に多かった。 6.閉鎖の程度に検査音による差がある場合は(1)母音と子音では,開鼻声の程度を問わず子音の方が閉鎖が良好,(2)子音内では/∫/と/P/が同じか,/∫/の方が/P/より閉鎖が良好,(3)母音内では開鼻声の程度によって異なり,開鼻声がごく軽度にある群では/i/の方が/a/より閉鎖が良好であるが,軽度にある群では/i/と/a/に差がないという傾向が認められた。7 .検査音による閉鎖の程度の差と年齢との問には一定の関係は認められなかった。 8. 2回検査を行った症例のうち,検査音による閉鎖の程度の差が変化した症例でも,子音の方が母音より閉鎖が良好であるという傾向は変わらなかった。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.20.4_172