当院における終末期医療としての腹膜透析

【背景】我が国の透析導入年齢は高齢化の一途を辿り、終末期医療としての腹膜透析(Last PD)の需要が高まりつつある。当院の2022年度のPD導入件数は14例であり、うちLast PDは5例だった。このうち、特に参考になった2症例について報告する。<症例1>肝硬変のある73歳男性。膵頭十二指腸切除術後、3~5L/日の腹水排液が持続し、腎機能は増悪傾向となった。血液透析(HD)は頻回な血圧低下のため施行できなかったため、PDを導入した。腹水を含む排液量は1~2L/日に安定し、 自宅退院を達成した。<症例2>79歳男性。高次脳機能障害があり、妻と次男の介護を受け生活していた。末期腎不全に対し透析用...

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Published in神戸市立病院紀要 Vol. 62; pp. 17 - 24
Main Authors 桂, 健介, 伊藤, 誠二, 堀川, 聖之輔, 林田, 珠奈, 吉本, 明弘, 大﨑, 啓介, 髙田, 風, 三島, 奈都美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 地方独立行政法人 神戸市民病院機構 2024
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ISSN0286-455X
2434-7590
DOI10.32301/kobecityhospital.62.0_17

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Summary:【背景】我が国の透析導入年齢は高齢化の一途を辿り、終末期医療としての腹膜透析(Last PD)の需要が高まりつつある。当院の2022年度のPD導入件数は14例であり、うちLast PDは5例だった。このうち、特に参考になった2症例について報告する。<症例1>肝硬変のある73歳男性。膵頭十二指腸切除術後、3~5L/日の腹水排液が持続し、腎機能は増悪傾向となった。血液透析(HD)は頻回な血圧低下のため施行できなかったため、PDを導入した。腹水を含む排液量は1~2L/日に安定し、 自宅退院を達成した。<症例2>79歳男性。高次脳機能障害があり、妻と次男の介護を受け生活していた。末期腎不全に対し透析用カテーテルでHDを導入したが、透析中に安静が保てず、常時付き添いを要したため、家族がPDを希望した。PDカテーテルを自己抜去するリスクがあったため、左側腹部に出口部を作成してPD導入した。【考察】終末期の患者や日常生活行動(ADL)が低下した患者、HDが困難な患者にPDを導入することで、自宅退院を達成し得る可能性がある。
ISSN:0286-455X
2434-7590
DOI:10.32301/kobecityhospital.62.0_17