第1子誕生直後における妻および夫の感情の変化

目 的本研究の目的は,第1子誕生直後における妻および夫の感情の変化を明らかにすることである。対象と方法第1子誕生直後の夫婦5組に対し,産後3~7日および産後1か月の2回,半構造化面接を行い質的記述的分析を行った。結 果夫が妻に対していたわる気持ちを持ち続けることにより,妻は夫への感謝や信頼が生まれ,夫は妻への尊敬の念を抱くようになったという共通の変化が明らかになった。感謝や満足感を抱くようになった夫婦は,「夫婦それぞれの役割認識が一致している場合」,「夫婦が親役割を獲得できた場合」,「互いのプライベートを夫婦で理解し合える場合」があった。パートナーに対する不満や我慢が出現した夫婦は,「出産直後...

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Published in日本助産学会誌 Vol. 36; no. 2; pp. 186 - 199
Main Authors 臼井, 夕奈, 川野, 亜津子, 金澤, 悠喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本助産学会 2022
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Summary:目 的本研究の目的は,第1子誕生直後における妻および夫の感情の変化を明らかにすることである。対象と方法第1子誕生直後の夫婦5組に対し,産後3~7日および産後1か月の2回,半構造化面接を行い質的記述的分析を行った。結 果夫が妻に対していたわる気持ちを持ち続けることにより,妻は夫への感謝や信頼が生まれ,夫は妻への尊敬の念を抱くようになったという共通の変化が明らかになった。感謝や満足感を抱くようになった夫婦は,「夫婦それぞれの役割認識が一致している場合」,「夫婦が親役割を獲得できた場合」,「互いのプライベートを夫婦で理解し合える場合」があった。パートナーに対する不満や我慢が出現した夫婦は,「出産直後から妻が夫に対し不安を持つ場合」,「夫婦間で育児に対する考え方にずれがある場合」であることが明らかになった。結 論5組の夫婦の中で共通した感情もあったが,具体的な内容は様々であることが明らかとなった。臨床助産師は,妊娠期や妻の入院中から,夫婦がパートナーに求めていることや,夫婦関係に対する不安,将来への思い,親としての受容の程度など,妻と夫それぞれの具体的な感情に注目し,今後夫婦で育児が協力して行われるか,問題となりうることはないかをアセスメントし,それぞれの夫婦に合わせた支援をしていく必要があることが示唆された。
ISSN:0917-6357
1882-4307
DOI:10.3418/jjam.JJAM-2021-0039