腰痛を呈する妊婦への腹横筋エクササイズによる身体変化

【目的】腰痛を呈する妊婦に対して,妊娠にて機能障害を生じやすいと考えられる腹横筋に着目した理学療法を実施し,実施前後の身体変化を明らかにすることを目的に行った。【方法】腰痛を呈した妊娠女性150名(妊娠周期28.3±5.4週,平均年齢33.4±4.4歳,BMI22.9±2.9 kg/m2)に対し,腹横筋エクササイズとして超音波画像による視覚的フィードバックを用いた腹横筋収縮学習を実施した。計測項目は,疼痛スケール(VAS),右側腹筋群(外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋)の筋厚,頚管長の3項目とし,側腹筋群の筋厚は安静呼気終末の超音波静止画像を記録し,頚管長は医師により計測した。介入前後に3項目それぞ...

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Published inウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法学 Vol. 2; pp. 16 - 22
Main Authors 布施, 陽子, 塩津, 英美, 杉本, 結実子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法研究会 2025
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Summary:【目的】腰痛を呈する妊婦に対して,妊娠にて機能障害を生じやすいと考えられる腹横筋に着目した理学療法を実施し,実施前後の身体変化を明らかにすることを目的に行った。【方法】腰痛を呈した妊娠女性150名(妊娠周期28.3±5.4週,平均年齢33.4±4.4歳,BMI22.9±2.9 kg/m2)に対し,腹横筋エクササイズとして超音波画像による視覚的フィードバックを用いた腹横筋収縮学習を実施した。計測項目は,疼痛スケール(VAS),右側腹筋群(外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋)の筋厚,頚管長の3項目とし,側腹筋群の筋厚は安静呼気終末の超音波静止画像を記録し,頚管長は医師により計測した。介入前後に3項目それぞれについて平均値を算出し,統計的解析はWilcoxonの符号付順位検定により,介入前後における変化について有意水準5%未満で検討した。また,妊娠週数による腹囲周囲径の違いを考慮して,妊娠25週以下(32名),妊娠26週以上(118名)の2群に分けて,全対象者と同様に検討した。【結果】全対象者について,VAS,外腹斜筋厚,腹横筋厚に差を認め,疼痛スケール,外腹斜筋厚は有意に減少し,腹横筋厚は有意に増大した(p<0.01)。また,内腹斜筋厚,頚管長については差を認めなかった(p=0.66,p=0.90)。妊娠週数による違いについては,外腹斜筋のみ妊娠25週以下の群で差を認めなかったが,その他は全対象者と同様の結果となった。【結論】腰痛を呈する妊婦に対し,腹横筋に焦点を当てた,超音波画像による視覚的フィードバックを用いた呼吸練習は,有効かつ安全であることが示された。
ISSN:2759-4386
DOI:10.69171/jwhmhpt.jwhmhpt202405