嚢胞内腫瘤を呈した乳腺葉状腫瘍の1例
極めてまれな嚢胞内腫瘤の形態を呈した乳腺葉状腫瘍を経験したので報告する。症例は54歳の女性。乳癌検診で両側乳房腫瘤を指摘された。乳房超音波およびMRI、CTにて6㎝の右嚢胞内腫瘤と5㎝の左乳腺腫瘤を認めた。穿刺吸引細胞診では悪性所見を認めず、両側嚢胞内乳頭腫の診断で乳腺部分切除を行った。左右の腫瘍とも乳管上皮が内張りする嚢胞壁から連続して2相性を保った上皮細胞に被覆された異型間質細胞の増生を認め、全体として葉状パターンを呈していた。間質細胞には細胞密度の増加と核分裂像を認め、境界病変の葉状腫瘍と診断した。さらに、左の腫瘍の一部に6㎜の非浸潤性乳管癌を認めた。追加治療は行わず、術後2年6ヶ月経過...
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Published in | 神戸市立病院紀要 Vol. 55; p. 15 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
地方独立行政法人 神戸市民病院機構
2017
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Summary: | 極めてまれな嚢胞内腫瘤の形態を呈した乳腺葉状腫瘍を経験したので報告する。症例は54歳の女性。乳癌検診で両側乳房腫瘤を指摘された。乳房超音波およびMRI、CTにて6㎝の右嚢胞内腫瘤と5㎝の左乳腺腫瘤を認めた。穿刺吸引細胞診では悪性所見を認めず、両側嚢胞内乳頭腫の診断で乳腺部分切除を行った。左右の腫瘍とも乳管上皮が内張りする嚢胞壁から連続して2相性を保った上皮細胞に被覆された異型間質細胞の増生を認め、全体として葉状パターンを呈していた。間質細胞には細胞密度の増加と核分裂像を認め、境界病変の葉状腫瘍と診断した。さらに、左の腫瘍の一部に6㎜の非浸潤性乳管癌を認めた。追加治療は行わず、術後2年6ヶ月経過し、再発兆候なく観察中である。 |
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ISSN: | 0286-455X 2434-7590 |
DOI: | 10.32301/kobecityhospital.55.0_15 |