アンケートによる思春期口唇裂口蓋裂患者の心理
思春期の口唇裂口蓋裂患者に対する今後の治療の指針を得る目的でアンケート調査を実施した。 対象は,熊本機能病院口唇口蓋裂センターあるいは昭和大学口唇口蓋裂センターを受診した口唇裂口蓋裂患者のうち,経過観察が可能であった13歳から18歳(中学生,高校生)までの患者とその保護者で,郵送によるアンケート調査の回答が得られた症例(患者本人87例,保護者98例)である。 25項目からなる質問紙を保護者宛てに郵送し,本人と保護者に別々に回答してもらった。回答方法は5段階の選択肢の中からひとつを選ぶ5者択一を基本とした。主な質問項目は,満足度(治療,学校生活,家庭生活)について,不安(進学,就職結婚,遺伝)に...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 20; no. 4; pp. 159 - 171 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
31.10.1995
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.20.4_159 |
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Summary: | 思春期の口唇裂口蓋裂患者に対する今後の治療の指針を得る目的でアンケート調査を実施した。 対象は,熊本機能病院口唇口蓋裂センターあるいは昭和大学口唇口蓋裂センターを受診した口唇裂口蓋裂患者のうち,経過観察が可能であった13歳から18歳(中学生,高校生)までの患者とその保護者で,郵送によるアンケート調査の回答が得られた症例(患者本人87例,保護者98例)である。 25項目からなる質問紙を保護者宛てに郵送し,本人と保護者に別々に回答してもらった。回答方法は5段階の選択肢の中からひとつを選ぶ5者択一を基本とした。主な質問項目は,満足度(治療,学校生活,家庭生活)について,不安(進学,就職結婚,遺伝)について,障害の認知などである。結果は以下のとおりであった。 1)患者本人,保護者ともに,治療満足度,学校生活満足度,家庭生活満足度はいずれも肯定的回答が多く,満足度は高かった。 2)患者本人では進学,就職,結婚,遺伝に対する不安は,不安という回答が多く,不安傾向は認められなかった。 3)保護者では進学と就職では不安が多かったが,結婚と遺伝では本人との問で有意差があり,不安傾向が認められた。 4)障害の認知は本人と保護者の回答はほぼ一致し,障害の認識ありという回答が多く,認識度は高かった。障害について小学生の問に母親あるいは両親から知らされたと答えたものが多かった。 5)将来の社会生活上問題が起こる可能性があることを予想して,われわれ治療に携わるものは本人と保護者との問の調停役,あるいは本人・保護者と社会との問の調停役をはたす必要があると考えた。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.20.4_159 |