右室流出路起源QRS波形を呈するにもかかわらず左大動脈洞にて焼灼可能であった流出路起源心室期外収縮の1例

右室流出路起源QRS波形を呈する心室期外収縮(VPC)のカテーテルアブレーションによる治療成功部位が, 左大動脈洞であったとする報告が散見されるが, VPC起源に対する解剖学的・電気生理学的特徴は報告には一定の見解が得られていない. 本症例の左大動脈洞にて焼灼可能であったVPCの解剖学的・電気生理学的特徴について報告する. 症例は57歳, 男性. 2003年拡張型心筋症・非持続性心室頻拍のため, 植込み型除細動器(ICD)治療を受けた. 2009年3月, 眼前暗黒感を伴うVPCが多発したため, カテーテルアブレーションを施行した. カテコラミン投与にて臨床でとらえられたと同一波形のVPCが誘発...

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Published in心臓 Vol. 42; no. SUPPL.4; pp. S4_109 - S4_115
Main Authors 足立, 正光, 久留, 一郎, 三明, 淳一朗, 井上, 義明, 井川, 修, 矢野, 暁生, 加藤, 克, 重政, 千秋, 飯塚, 和彦, 小倉, 一能, 近藤, 健人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.42.S4_109

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Summary:右室流出路起源QRS波形を呈する心室期外収縮(VPC)のカテーテルアブレーションによる治療成功部位が, 左大動脈洞であったとする報告が散見されるが, VPC起源に対する解剖学的・電気生理学的特徴は報告には一定の見解が得られていない. 本症例の左大動脈洞にて焼灼可能であったVPCの解剖学的・電気生理学的特徴について報告する. 症例は57歳, 男性. 2003年拡張型心筋症・非持続性心室頻拍のため, 植込み型除細動器(ICD)治療を受けた. 2009年3月, 眼前暗黒感を伴うVPCが多発したため, カテーテルアブレーションを施行した. カテコラミン投与にて臨床でとらえられたと同一波形のVPCが誘発された. VPC波形は左脚ブロック型, 移行帯がV3~4間であり右室流出路起源が疑われた. カテーテルを肺動脈中隔尖-後尖交連部下方の右室流出路に留置したところ, VPC時QRS波に20ms先行する局所電位が記録され, 同部位でのペースマップはVPC時QRS波形とほぼ一致した. 同部位でアブレーションを施行したがVPCの消失は得られないため, 大動脈洞でマッピングを施行, 大動脈弁左冠尖-右冠尖交連部でVPC時QRS波に60ms先行する局所興奮が記録される部位を認めた. 同部位でペースマップを行ったところ, スパイク—QRS時間が80msで, VPCと同一のQRS波形が認められた. 同部位での通電で以後VPCは消失した. 流出路起源心室不整脈においては, 心電図診断にかかわらず左右のマッピング所見を比較することが重要であり, その際は, QRS波形のみならずV-QRS間隔を評価する必要があると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.S4_109