災害・事故等で懸念される物質群のうち難揮発性物質に対する新規網羅分析手法の開発
非常時における化学物質漏洩等を想定し,難揮発性の有機化学物質をメインの対象物質として高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析計(LC-QTOFMS)のデータベース内に精密質量情報や衝突断面積情報等を登録するとともに,国内主要河川や排水の水質試料に関する網羅分析を進めてきた。その結果,河川水や下水処理場流入水や放流水,医療機関排水などから,ヒトの日常生活を通じて排出される医薬品類をはじめとした生活由来化学物質が主に検出された。さらに,固相抽出の際に添加したサロゲート物質を用いて概算濃度を算出し,同じ試料を高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いた定量精度の高い分析結果と比較したところ,3~10 倍...
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Published in | 地球環境 Vol. 28; no. 2; pp. 213 - 224 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国際環境研究協会
2023
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Subjects | |
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Summary: | 非常時における化学物質漏洩等を想定し,難揮発性の有機化学物質をメインの対象物質として高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析計(LC-QTOFMS)のデータベース内に精密質量情報や衝突断面積情報等を登録するとともに,国内主要河川や排水の水質試料に関する網羅分析を進めてきた。その結果,河川水や下水処理場流入水や放流水,医療機関排水などから,ヒトの日常生活を通じて排出される医薬品類をはじめとした生活由来化学物質が主に検出された。さらに,固相抽出の際に添加したサロゲート物質を用いて概算濃度を算出し,同じ試料を高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いた定量精度の高い分析結果と比較したところ,3~10 倍程度の乖離が見られた物質もあった。そこで,固相抽出前の試料の希釈や,前処理を介さないLC-QTOFMS への直接注入等の方法で,影響が軽減されたことが示唆された。 |
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ISSN: | 1342-226X 2758-3783 |
DOI: | 10.57466/chikyukankyo.28.2_213 |