通所リハビリテーションにおける継続利用者の要介護度の変化について

【目的】軽度要介護認定者の増加を受け,在宅自立高齢者や軽度認定者を対象とした報告は多くされているが,通所リハビリテーション(以下,通所)に関する報告は少ない。今回,2事業所における継続利用者の要介護度の変化とその要因について検討を行ったので報告する。 【方法】平成19年1月~平成20年6月の18ヶ月間,通所Aまたは通所Bを継続利用した65歳以上の利用者を対象とした。調査項目は基本属性,通所リハ利用状況等の55項目であり,利用者基本情報から情報を得ると共に通所職員に対して聞き取り調査を行った。通所Aの対象者は33名(平均年齢83.0歳,男性13名,女性20名),通所Bは37名(平均年齢79.4歳...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 87
Main Authors 小林, 克守, 坂本, 雅昭, 原, 浩二, 井野, 正彦, 井野, 教子, 黒岩, 亜紀, 中澤, 理恵, 唐澤, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2009
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.28.0.87.0

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Summary:【目的】軽度要介護認定者の増加を受け,在宅自立高齢者や軽度認定者を対象とした報告は多くされているが,通所リハビリテーション(以下,通所)に関する報告は少ない。今回,2事業所における継続利用者の要介護度の変化とその要因について検討を行ったので報告する。 【方法】平成19年1月~平成20年6月の18ヶ月間,通所Aまたは通所Bを継続利用した65歳以上の利用者を対象とした。調査項目は基本属性,通所リハ利用状況等の55項目であり,利用者基本情報から情報を得ると共に通所職員に対して聞き取り調査を行った。通所Aの対象者は33名(平均年齢83.0歳,男性13名,女性20名),通所Bは37名(平均年齢79.4歳,男性14名,女性23名)であった。診断名は,脳血管疾患:通所A11名・B18名,骨関節疾患:通所A14名・B8名,認知症:通所A7名・B8名であった。平成19年1月の要介護度は,要支援1~要介護1:通所A・Bとも19名,要介護2~3:通所A・Bとも11名,要介護4~5:通所A3名・B7名であった。平成19年1月と平成20年6月の要介護度を比較し「改善・維持群」,「悪化群」の2群に分類した。調査項目ごとに2事業所間,2群間で比較を行い,離散量はχ2検定,連続量はt検定を用いて検討した。なお,調査はプライバシー保護に配慮し当診療所の倫理規定に基づき実施した。 【結果】要介護度の改善・維持群は,通所A23名(70%),通所B33名(89%)であり,通所Bで有意に改善・維持が認められた(p<0.05)。2事業所で有意差が認められたのは,平均年齢とリハ内容であった。通所Aは平均年齢が高く(p<0.05),リハ内容では,自主トレーニングとして行う平行棒内歩行(p<0.001)や階段昇降(p<0.05),集団体操(p<0.05)の実施が多くみられた。通所Bは職員の見守り・介助のもと他利用者と共に行うマシントレーニングの実施が多くみられた(p<0.001)。改善・維持群と悪化群で有意差が認められたのは,認知症高齢者の日常生活自立度の変化であり,要介護度の改善・維持群は認知症高齢者の日常生活自立度も改善・維持である傾向がみられた(p<0.05)。 【考察】2事業所で平均年齢,リハ内容に異なる傾向がみられ,通所Bで有意に要介護度の改善・維持が認められた。通所Bでマシントレーニングの実施が多くみられたことより,マシントレーニングの影響が考えられたが,職員の見守り・介助等心理的側面の影響も考えられた。また,2群で認知症高齢者の日常生活自立度の変化に異なる傾向がみられたことより認知症の影響も考えられたが,詳細については今後も検討が必要である。 【まとめ】通所利用者の要介護度の変化に,職員の介助・見守りのもと行うマシントレーニングの実施,認知症の影響が考えられた。
Bibliography:87
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.28.0.87.0