練和後のセルフアドヒーシブセメントのpHの変化について

目的 : 近年, 前処理を必要としないセルフアドヒーシブセメントが開発, 市販され始めた. その一方で, インレー修復の術後疼痛の原因の一つとして, 歯科用セメントが練和直後に酸性を示すことが挙げられている. 接着性レジンセメントについては, 接着に必要な接着性モノマーが酸性であるため, 硬化中の酸性度が歯髄に影響を与える可能性がある. そこで今回われわれは, 接着性レジンセメントのpH値を測定し, 練和後のpHの変化について検討した. 材料・方法 : 被験材料としてMaxcem Elite (Kerr), Clearfil SAセメントAutomix (クラレノリタケデンタル), RelyX...

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Published inThe Japanese Journal of Conservative Dentistry Vol. 61; no. 4; pp. 235 - 240
Main Authors 山本, 一世, 松田, 有之, 小正, 玲子, 鞏, 雅楠, 吉川, 一志, 王, 丹, 岩﨑, 和恵, 澤井, 健司郎, 韓, 嘯宇, 保尾, 謙三, 奥村, 瑳恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 2018
The Japanese Society of Conservative Dentistry
Subjects
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.61.235

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Summary:目的 : 近年, 前処理を必要としないセルフアドヒーシブセメントが開発, 市販され始めた. その一方で, インレー修復の術後疼痛の原因の一つとして, 歯科用セメントが練和直後に酸性を示すことが挙げられている. 接着性レジンセメントについては, 接着に必要な接着性モノマーが酸性であるため, 硬化中の酸性度が歯髄に影響を与える可能性がある. そこで今回われわれは, 接着性レジンセメントのpH値を測定し, 練和後のpHの変化について検討した. 材料・方法 : 被験材料としてMaxcem Elite (Kerr), Clearfil SAセメントAutomix (クラレノリタケデンタル), RelyX Unicem 2 Automix (3M ESPE) を使用し, 各材料の練和方法はメーカーの指示に従った. 各試料のpH測定にはブックpH試験紙 (Advantec) を使用した. 蒸留水にて湿潤したpH試験紙を3分間反応させ, standard pH color chartを参考にし, 各試料の練和直後, 練和後5, 10分, 24, 48時間および72時間のpH値を測定した. 試料は各群3個とし, Tukeyの検定を用い統計解析を行った. 結果 : Maxcem EliteについてのpH値は練和直後から72時間後まであまり変化がみられず, 硬化後もpHは3.0と強い酸性の値を示した. Clearfil SAセメントAutomixについては, 練和直後のpHは2.5と高い酸性を示し, 72時間後になると6.2へと上昇した. 最後に, RelyX Unicem 2 Automixについては, 練和直後のpHは2.8と強い酸性の値を示すが, 72時間後には7.4に上昇した. 結論 : 以上の結果より, Clearfil SA セメント AutomixとRelyX Unicem 2 AutomixのpHは練和直後から10分後までは低かったが, 24時間後のpHは上昇し, 特にRelyX Unicem 2 Automixは中性に近づいた. 一方, Maxcem EliteのpHは72時間後においても上昇は少なく酸性度が低いままであった.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.61.235