リハビリテーション科でのメタボリック症候群への取り組み
【目的】現在日本では、摂取カロリー過剰と運動不足などによる消費カロリーの低下から、エネルギーの蓄積過剰の状態、つまり肥満とそれに基づくメタボリック患者の増加が深刻な社会問題になっている。その問題に応えるため、市中病院の規模での運動療法プログラムを提供できる体制を整えた。医師・理学・作業療法士を中心に患者に長期間持続可能な医療提供への取り組みを報告する。 【方法】2005年より、当院外来患者の中でメタボリック症候群の患者を対象に75g糖負荷試験(OGTT), 内臓脂肪CTを行った。糖尿病治療ガイドに従い、内臓脂肪型肥満でインスリン抵抗性の高い患者のうち運動療法を希望された5名に行った。安全に運動...
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Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 26; p. 24 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2007
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.26.0.24.0 |
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Summary: | 【目的】現在日本では、摂取カロリー過剰と運動不足などによる消費カロリーの低下から、エネルギーの蓄積過剰の状態、つまり肥満とそれに基づくメタボリック患者の増加が深刻な社会問題になっている。その問題に応えるため、市中病院の規模での運動療法プログラムを提供できる体制を整えた。医師・理学・作業療法士を中心に患者に長期間持続可能な医療提供への取り組みを報告する。 【方法】2005年より、当院外来患者の中でメタボリック症候群の患者を対象に75g糖負荷試験(OGTT), 内臓脂肪CTを行った。糖尿病治療ガイドに従い、内臓脂肪型肥満でインスリン抵抗性の高い患者のうち運動療法を希望された5名に行った。安全に運動療法を行うために、運動負荷心電図を行った。また、研究はヘルシンキ宣言に基づいたものであり、データを発表することに同意を得た。 1.運動前の血圧測定2.医師の診察3.理学療法士・作業療法士による医療相談4.運動前ストレッチ5.エルゴメーター6.運動後ストレッチ7.運動後の血圧測定、体重測定。 エルゴメーターの運動負荷量は、運動負荷心電図測定時のデータを参考に心拍数100回/分で40分の負荷強度を目標にした。体重・血圧・心拍数を経時的に測定した。一年あたりの体重減少の平均値、心拍数×脈圧は10回ごとの移動平均値で分析した。 【結果】5名のうち2名がリハビリ継続中である。残りの3名は骨折などを契機にリハビリを断念した。5名とも10ヶ月以上の経過を追えた。リハビリ期間中は週1から2回以上のペースを継続できた。体重は平均1.9kg/year減少。血圧は運動後では運動前に比べ上昇する傾向にあった。 運動後の拡張期・収縮期共に減少が見られた一症例もあった。心拍数×脈圧は一症例で移動平均値が経時的に10%以上の減少が見られた。増加傾向が2症例で見られた。 【考察】運動療法は、患者が治療を継続する難しさがある。治療の目標をどこに置くかで患者との接し方も変ってくる。体重減少を目標においた運動療法は患者に精神的負担を与える場合がある。なだらかな体重減少に基づく、内臓脂肪の減少とインスリン抵抗性の解除を目標にすえ、心拍数×脈圧すなわち心血管系のリスク因子を数値的に捕らえ、メタボリック症候群と向き合うことが必要と考える。また、理学療法士のストレッチ指導・医療相談で精神的なケアが長期継続のために有効と考えられる。 |
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ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.26.0.24.0 |