当院での交通外傷患者(頚椎捻挫)の治療法と傾向

【目的】 当院では二次救急病院として、交通外傷の患者が多く搬送される。中でも軽度外傷に分類される頚椎捻挫いわゆる“ムチ打ち”のリハビリテーション(以下リハビリ)を行っている。そこで当院に来院される頚椎捻挫患者の傾向を検証するため、頚椎捻挫のリハビリのプログラムをまとめ、痛みを中心とした改善度の調査を行い、後ろ向き研究の18症例を報告する。 【対象】 平成20年度に交通外傷にて頚椎捻挫の診断によりリハビリを受けた中で、説明と同意を得た(平均年齢42.76±12.7歳、男性8名・女性10名)18症例(継続中の患者も含む)。 【方法】 対象者の年齢、リハビリ開始まで期間と痛みの改善度(開始時と最終時...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 47
Main Authors 渡邉, 浩文, 森谷, 友羽, 堀内, 俊樹, 宮下, 祐輔, 赤澤, 美奈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2009
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.28.0.47.0

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Summary:【目的】 当院では二次救急病院として、交通外傷の患者が多く搬送される。中でも軽度外傷に分類される頚椎捻挫いわゆる“ムチ打ち”のリハビリテーション(以下リハビリ)を行っている。そこで当院に来院される頚椎捻挫患者の傾向を検証するため、頚椎捻挫のリハビリのプログラムをまとめ、痛みを中心とした改善度の調査を行い、後ろ向き研究の18症例を報告する。 【対象】 平成20年度に交通外傷にて頚椎捻挫の診断によりリハビリを受けた中で、説明と同意を得た(平均年齢42.76±12.7歳、男性8名・女性10名)18症例(継続中の患者も含む)。 【方法】 対象者の年齢、リハビリ開始まで期間と痛みの改善度(開始時と最終時のNRSの差)、リハビリ終了までにかかった日数と回数調査を行い、痛みの改善度を基準にそれぞれ相関検定を行った。 【理学療法プログラム】 急性期は触れるだけで痛みを強く訴えることが多く、ホットパック、マイクロ波、干渉波や牽引などの物理療法で対応する。触れることが可能になると、徒手療法で介入する。主症状は筋緊張の亢進、筋スパズムと関節可動域制限に加え全般に痛みを伴う。徒手療法はまず皮膚レベルから介入する。改善に合わせて筋レベルに介入し、関節可動域練習や筋力強化と進めていく。以降アプローチを進めるが、身体的改善が見られない場合もある。その上で精神面でのサポートをする。社会復帰等勧める中で、復職等のアドバイスもしていく。 【結果】 痛みの改善度との各相関係数は、(1)年齢0.18、(2)リハビリ開始までの期間0.5、(3)リハビリ終了までにかかった日数0.038、(4)リハビリ回数0.16であった。(2)のリハビリ開始までの期間と痛みの改善度が中等度で正の相関を示したが、その他の相関はほとんどみられなかった。(p<0.05) 【考察】 頚椎捻挫のリハビリの治療に関して検証を行なった結果、痛みの改善度とリハビリ開始までの日数に相関がみられた。このことは受傷直後の炎症期に徒手療法を開始するより、症状が落ち着いてから開始する方がより良いリハビリが提供できると考えられる。しかし、その他の項目に関しては、相関が見られなかった。このことは、頚椎捻挫の身体症状のばらつき(骨、筋、異常感覚、感覚障害、筋力低下)や重傷程度(強さ)、患者個々の精神的な問題や取り巻く環境が大きく影響しているのではないかと考える。今後は症例数を増やし、痛み以外の症状や環境因子を視野に入れ検討していきたいと考える。
Bibliography:47
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.28.0.47.0