ストレッチポールを用いたベーシックセブンが肩甲骨位置に与える即時効果
【目的】日常生活においては、上肢を身体前面にて使用する頻度が高く、肩甲骨位置は外側に強いられ、肩甲骨内側固定筋群は伸長され機能低下を引き起こす原因と考えられる。一方、日本コアコンディショニング協会が提唱するストレッチポール(以下SP)を用いたベーシックセブン(以下B7)は肩甲骨を内側方向に誘導すると言われているが、その効果については検証されていない。我々はSPが肩甲骨を内側方向に誘導する有用なツールではないかと考え、SPを用いたB7が肩甲骨位置に与える即時効果を検証した。【方法】対象は健常成人男女45名(平均年齢29±4歳)で、これらを無作為にA群23名、B群22名に振り分けた。A群はSPを用...
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Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 29; p. 98 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.29.0.98.0 |
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Summary: | 【目的】日常生活においては、上肢を身体前面にて使用する頻度が高く、肩甲骨位置は外側に強いられ、肩甲骨内側固定筋群は伸長され機能低下を引き起こす原因と考えられる。一方、日本コアコンディショニング協会が提唱するストレッチポール(以下SP)を用いたベーシックセブン(以下B7)は肩甲骨を内側方向に誘導すると言われているが、その効果については検証されていない。我々はSPが肩甲骨を内側方向に誘導する有用なツールではないかと考え、SPを用いたB7が肩甲骨位置に与える即時効果を検証した。【方法】対象は健常成人男女45名(平均年齢29±4歳)で、これらを無作為にA群23名、B群22名に振り分けた。A群はSPを用いてB7を実施、B群はSPを用いずにB7を実施し、各々B7実施前後の肩甲骨位置の変化量を測定した。測定肢位は上肢下垂位での安静立位とし、肩甲骨位置の測定にはメジャー、胸郭幅の測定にはノギス型計測器を用いた。測定項目は肩甲棘内側端から棘突起までの距離(a:左側b:右側)、下角から棘突起までの距離 (c:左側d:右側)とし、剣状突起の高さでの胸郭幅(e)を安静呼気時に計測した。個体差を考慮し肩甲棘内側端から棘突起までの距離をa(またはb)÷e×100〔%〕、下角から棘突起までの距離をc(またはd)÷e×100〔%〕とし比較した。統計学的検定にはF検定に基づく対応のあるt検定を用いた。【結果】両群ともにB7前後で全ての測定部位において内側方向に誘導された。B7実施前後の測定値間には、A群では明らかな有意差が認められたが、B群では有意差は認められなかった。(p<0.01)【考察】本研究によりSPを用いたB7が肩甲骨位置に与える即時効果として、内側方向に誘導することが明らかになった。肩甲胸郭関節は浮遊関節であり、他関節および姿勢の影響により位置が左右されやすい関節である。SPを用いたB7の効果として杉野ら(2006)により腰椎前彎を減少させる脊椎リアライメント効果が示されており、本研究における肩甲骨の内側方向への誘導が脊椎リアライメント効果に付随しているものとも考えられる。また、各測定部位の内側偏移量から、実際には内転、下方回旋方向に誘導される事がわかった。石谷ら(2009)によると肩板断裂、投球肩の症例において患側肩甲骨が健側肩甲骨より外側方向に位置していたという報告がなされている。我々の見解としては、肩甲骨が外側に強いられることが肩甲骨固定性を低下させ、肩甲上腕リズムの破綻、及び種々肩関節疾患の発症要因の一つとして考えられる。以上よりSPが肩甲骨を内側方向に誘導する有用なツールであり、種々肩関節疾患に対しての効果も今後検証していきたい。 |
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Bibliography: | 115 |
ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.29.0.98.0 |