エンドトキシン吸着カラム(PMX-DHP)は有用か

Polymyxin B(PLB)はエンドトキシンを吸着する作用があり,PLBを結合させたカラム(PMX-DHP)が日本で開発された。日本では PMX-DHPが早い段階で保険適応となったこともあり,有用性を評価するための質の高い研究が行われてこなかった。海外では現在まで敗血症性ショック患者を対象とし死亡率をアウトカムとする比較的大規模な RCTが 3件行われたが,1件は有意な有用性を示したものの,1件は差がなかった。1件の RCTはプレスリリースでの結果公表の段階であるが,primary outcomeでは有意差がないものの,post-hocの subgroup解析では有意に死亡率を減少した。敗...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 3; pp. 242 - 247
Main Authors 宮川, 一平, 秋本, 倫太郎, 大坪, 広樹, 首藤, 瑠里, 舛本, 直哉, 椎野, 明日実, 草永, 真志, 佐藤, 直人, 手嶋, 悠人, 真弓, 俊彦, 花石, 源太郎, 岡本, 直通, 弓指, 恵一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 30.06.2018
Japan Society for Surgical Infection
Subjects
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.15.3_242

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Summary:Polymyxin B(PLB)はエンドトキシンを吸着する作用があり,PLBを結合させたカラム(PMX-DHP)が日本で開発された。日本では PMX-DHPが早い段階で保険適応となったこともあり,有用性を評価するための質の高い研究が行われてこなかった。海外では現在まで敗血症性ショック患者を対象とし死亡率をアウトカムとする比較的大規模な RCTが 3件行われたが,1件は有意な有用性を示したものの,1件は差がなかった。1件の RCTはプレスリリースでの結果公表の段階であるが,primary outcomeでは有意差がないものの,post-hocの subgroup解析では有意に死亡率を減少した。敗血症の標準診療が普及し,死亡率が低下しつつある現在において,死亡率を outcomeとして有意差を得ることはますます困難になりつつあるが,これはすなわち,PMX-DHPを始め多くの治療法は,ある限られた患者群でのみ有用である治療法であることを示唆し,適応をよく考慮して使用すべきと言えよう。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.15.3_242