当院における脳血管障害者の機能・能力改善について
【背景・目的】平成18年度の診療報酬改正により、脳血管障害者のリハビリテーション(以下、リハビリ)は発症から180日と日数制限が加えられ長期的な医療リハビリ継続は困難となった。そこで、本研究では当院における理学療法の治療効果として、これまでに行われてきたStroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)、Timed Up and Go Test(以下TUG)、30秒以上の立位保持の可否の結果を基に、入院及び外来患者の発症からの期間による機能改善の程度を明らかにし、発症から180日以上経過後の理学療法効果を検証することを目的とした。 【対象】過去に当院でリハビリを実...
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Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 27; p. 62 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2008
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Subjects | |
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ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.27.0.62.0 |
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Summary: | 【背景・目的】平成18年度の診療報酬改正により、脳血管障害者のリハビリテーション(以下、リハビリ)は発症から180日と日数制限が加えられ長期的な医療リハビリ継続は困難となった。そこで、本研究では当院における理学療法の治療効果として、これまでに行われてきたStroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)、Timed Up and Go Test(以下TUG)、30秒以上の立位保持の可否の結果を基に、入院及び外来患者の発症からの期間による機能改善の程度を明らかにし、発症から180日以上経過後の理学療法効果を検証することを目的とした。 【対象】過去に当院でリハビリを実施し、発症から180日以上経過した評価が可能であった脳血管障害者27例(平均年齢62.52歳、右片麻痺12例/左片麻痺15例)。 【方法】調査項目は一般情報(年齢・性別・疾患名・障害名・発症日)、SIAS、TUG、立位保持の可否とし、A)発症から90日、B)91~180日、C)181~270日、D)271日以上の期間に計測した値とした。発症から90日以内の立位保持の可否を基に、立位可群(立位保持可能)と立位不可群(立位保持不可)に分け、SIAS、TUGの変化を、B-C間)とB-D間)の値を比較して180日以降の効果について検討した。SIASは下肢moter合計点で3点以上の変化を改善あり、TUGは10秒以内(健常高齢者)、13秒以内(転倒リスク)、20秒以内(屋外歩行可能)、30秒以内、30秒以上(ADL要介助)の5基準とし、基準が変化したものを改善ありとした。また、能力改善について発症から180日以上経過での立位・歩行の獲得(検査可能)、歩行補助具要から不要への変化を検討した。 【結果】立位可群は19例、立位不可群は8例だった。SIASは、立位可群でB-C間)0例、B-D間)1例、立位不可群でB-C間)2例、B-D間)0例に改善がみられた。TUGは、立位可群でB-C間)7例、B-D間)2例、立位不可群でB-C間)1例、B-D間)1例に基準の改善がみられた。能力面は、立位可群1例、立位不可群2例で歩行が獲得され、立位可群4例、立位不可群1例で歩行補助具の改善がみられた。発症後180日を経過しても機能改善や能力獲得、歩行の質的変化が認められたのは15例、全体の約55%だった。 【まとめ】発症後180日以上経過した症例では、機能面での変化よりも歩行獲得や基準の変化、質的変化など能力面での改善がみられた。今日の医療制度では発症後180日以上経過した症例のリハビリ継続には制限があるが、発症後180日以上経過後も機能や能力的変化がみられる症例がいることが明らかとなった。 |
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Bibliography: | 53 |
ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.27.0.62.0 |