居住者参加型集合住宅管理に関する比較研究(1)
集合住宅が,通りすぎる場から愛着を持って住みこなせる場に転換していくことが,これからの都市住宅像である。そのためには,集合住宅管埋を統制的管理と愛着的管理の統合ととらえ,かつ,それをコミュニティ形成が補完し,それら諸側面を関係づける仕掛けとしての居住者参加を促進する必要がある。本研究は,こうした仮説を実証するために,この視点が生成する典型事例を国際的に比較考察せんとしている。本年度は,日本の事例としては,公団賃貸住宅の自治会活動と公営住宅1室増築活動のケーススタディを行なった。海外については欧米の革新的努力の現れている事例を検討した。これらを通して,居住者参加型集合住宅の概念は,公共賃賃住宅管...
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Published in | 住宅建築研究所報 Vol. 14; pp. 291 - 305 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般財団法人 住総研
1988
Housing Research Foundation "JUSOKEN" |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0286-5947 2423-9860 |
DOI | 10.20803/jusokenjo.14.0_291 |
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Summary: | 集合住宅が,通りすぎる場から愛着を持って住みこなせる場に転換していくことが,これからの都市住宅像である。そのためには,集合住宅管埋を統制的管理と愛着的管理の統合ととらえ,かつ,それをコミュニティ形成が補完し,それら諸側面を関係づける仕掛けとしての居住者参加を促進する必要がある。本研究は,こうした仮説を実証するために,この視点が生成する典型事例を国際的に比較考察せんとしている。本年度は,日本の事例としては,公団賃貸住宅の自治会活動と公営住宅1室増築活動のケーススタディを行なった。海外については欧米の革新的努力の現れている事例を検討した。これらを通して,居住者参加型集合住宅の概念は,公共賃賃住宅管理の「ハード」と「ソフト」は統合されなければならないこと,コミュニティからの支持を受けつつ,コミュニティ形成全体に責任を持つ単一組織にフォローされなければならないことが,明らかとなった。日本では,あらゆる居住地に存在する自治会がその可能性を持っていることを示した。自治会が積極的集住体管埋の役割を担うための仕掛けとして,イギリスの「マネジメント・コーポラティブ」が示唆的である。それは従来の公営住宅管埋の画一的・官僚的水準を超えて,居住者の満足のいく管埋水準をもたらしている。いまひとつ,イギリスのACTAC(コミュニティ技術支援センター協会)は,参加型管理・改善等の居住活動を専門家集団が支援する,とりわけデザイン・プロセスヘの居住者参加を可能とするマン・パワー支援の方策として注目される。 |
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ISSN: | 0286-5947 2423-9860 |
DOI: | 10.20803/jusokenjo.14.0_291 |