災害事故時に活用可能な情報基盤の整備

災害・事故に起因する工場・事業場からの化学物質の漏洩に備えて,各自治体では化学物質の存在量を予め把握しておくことが望まれる。そこで,PRTR 届出データから工場・事業場における化学物質の在庫量を推計する手法を検討した。公表されているPRTR 届出データである排出量・移動量と,13 の自治体による取扱量との比率を「排出率」と定義し,物質別,業種別及び従業員数区分別に排出率を算定した。検証の結果,この排出率を用いれば,化学物質の取扱量の推計が± 1 桁オーダー程度の精度で行えることが分かった。さらに,環境省が実施したPRTR パイロット事業で得られた在庫量と取扱量との比率を「在庫率」と定義し,推計...

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Published in地球環境 Vol. 28; no. 2; pp. 225 - 232
Main Author 中村, 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国際環境研究協会 2023
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ISSN1342-226X
2758-3783
DOI10.57466/chikyukankyo.28.2_225

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Summary:災害・事故に起因する工場・事業場からの化学物質の漏洩に備えて,各自治体では化学物質の存在量を予め把握しておくことが望まれる。そこで,PRTR 届出データから工場・事業場における化学物質の在庫量を推計する手法を検討した。公表されているPRTR 届出データである排出量・移動量と,13 の自治体による取扱量との比率を「排出率」と定義し,物質別,業種別及び従業員数区分別に排出率を算定した。検証の結果,この排出率を用いれば,化学物質の取扱量の推計が± 1 桁オーダー程度の精度で行えることが分かった。さらに,環境省が実施したPRTR パイロット事業で得られた在庫量と取扱量との比率を「在庫率」と定義し,推計取扱量から在庫率を用いて,在庫量を推計する手法を確立した。その結果,公表されているPRTR 届出データである排出量・移動量から,「排出率」及び「在庫率」を用いることにより,存在量に近い概念値である化学物質の在庫量を推計することが可能となった。
ISSN:1342-226X
2758-3783
DOI:10.57466/chikyukankyo.28.2_225