口腔扁平上皮癌の浸潤先進部における脈管密度の検討 特に癌浸潤様式に伴う血管密度とリンパ管密度の推移の比較
所属リンパ節転移は, 口腔癌の悪性度に最も相関する因子の一つであり, リンパ節転移の制御は臨床において重要な治療戦略である。従って, 原発巣における微小リンパ管動態について高い関心が持たれてきた。しかし, 微小血管との鑑別が容易でないため, なお不明な点が多い。今回われわれは, 口腔扁平上皮癌における血管新生およびリンパ管新生と腫瘍の浸潤や増殖の関係を明らかにする目的で, 5'-nucleotidase (5'-Nase) リンパ管染色-alkaline phosphatase (ALP) 血管染色の二重染色法を用いて微少血管, リンパ管密度と臨床的, 病理組織学的因子およ...
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Published in | 日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 18; no. 3; pp. 75 - 81 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
15.09.2006
日本口腔腫瘍学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0915-5988 1884-4995 |
DOI | 10.5843/jsot.18.75 |
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Summary: | 所属リンパ節転移は, 口腔癌の悪性度に最も相関する因子の一つであり, リンパ節転移の制御は臨床において重要な治療戦略である。従って, 原発巣における微小リンパ管動態について高い関心が持たれてきた。しかし, 微小血管との鑑別が容易でないため, なお不明な点が多い。今回われわれは, 口腔扁平上皮癌における血管新生およびリンパ管新生と腫瘍の浸潤や増殖の関係を明らかにする目的で, 5'-nucleotidase (5'-Nase) リンパ管染色-alkaline phosphatase (ALP) 血管染色の二重染色法を用いて微少血管, リンパ管密度と臨床的, 病理組織学的因子および癌浸潤様式との関係について検討した。結果: 1) 正常粘膜の血管, リンパ管密度はそれぞれ27.4±4.4, 12.8±4.0で, また癌組織の血管, リンパ管密度はそれぞれ9.5±6.3, 6.4±1.7であった。2) 腫瘍の大きさ, 転移の有無および分化度ではいずれも有意差は認められなかったが, 血管密度は非転移症例や高分化型に高い傾向にあった。一方, 癌浸潤様式との関連性においては, 浸潤傾向が高度のものほど血管密度が低くなる傾向がみられたが, リンパ管密度はほぼ一.定で推移し, 高度浸潤癌においてやや増加する傾向が認められた。 |
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ISSN: | 0915-5988 1884-4995 |
DOI: | 10.5843/jsot.18.75 |