Hypoxia/reoxygenation処理によるヒト血管内皮細胞傷害に対するPGE1の修飾作用

虚血/再灌流時には, 血液中酸素濃度の低下や急激な上昇による酸化的ストレスによって血管内皮が傷害を受けて血管機能に支障をきたすことが知られている. 血管内皮細胞はhypoxia処理(虚血のin vitorモデル)により, ミトコンドリアの膜電位の低下による細胞骨格の破壊2)や, 細胞内cAMPレベルの低下3,4,6), PKCδ活性の低下5)などさまざまな影響を受け細胞死に陥いることも報告されている1). 一方, reoxygenation処理(再灌流のin vitroモデル)では, cAMPレベルの低下7)や, アポトーシスの誘導8,9)などの影響を受けることが明らかになっている. したがっ...

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Published in炎症・再生 Vol. 22; no. 1; pp. 53 - 60
Main Authors 北川, 晶, 武永, 美津子, 松本, 香代, 川合, 眞一, 水島, 裕, 五十嵐, 理慧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 31.01.2002
日本炎症・再生医学会
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Summary:虚血/再灌流時には, 血液中酸素濃度の低下や急激な上昇による酸化的ストレスによって血管内皮が傷害を受けて血管機能に支障をきたすことが知られている. 血管内皮細胞はhypoxia処理(虚血のin vitorモデル)により, ミトコンドリアの膜電位の低下による細胞骨格の破壊2)や, 細胞内cAMPレベルの低下3,4,6), PKCδ活性の低下5)などさまざまな影響を受け細胞死に陥いることも報告されている1). 一方, reoxygenation処理(再灌流のin vitroモデル)では, cAMPレベルの低下7)や, アポトーシスの誘導8,9)などの影響を受けることが明らかになっている. したがって, hypoxia, reoxygenationのいずれも, 細胞内cAMPレベルの低下を伴った細胞機能の低下を招くと考えられる. cAMPは生理活性物質が細胞膜受容体に結合したのち, アデニル酸シクラーゼによりATPから誘導される物質であり, さらにプロテインキナーゼ(PK)Aを活性化し, 細胞の増殖や分化を調節することが知られている. cAMPレベルを変動させる物質の一つとしてプロスタグランジンE1(PGE1)がある. PGE1は血管拡張作用, 血小板凝集抑制作用, 赤血球変形形態改善作用など多彩な薬理効果を持ち, 種々の難治性血管病変の治療に利用されている10).
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.22.53