簡便な11-dehydro-thromboxane B2の抽出法の確立とRIAによる測定

強力な生理作用を持つthromboxane(TX)A2の血中動態は, 循環器系疾患などの病態を解明する上で注目されている. TXA2は, 半減期約32秒1)と不安定であり, かつ非酵素的にTXB2へと変化する. そのため現在まで, TXA2の動態を知る指標として安定なTXB2が測定されてきたが, 採血時における血小板活性化の影響を受けやすく, 病態を正確に捉えられない場合もあった. 11-dehydro-thromboxane B2(11DT)は, TXB2からの酵素代謝産物2,3)である. この代謝酵素, 11-OH-dehydrogenaseは, 肝臓, 肺組織2)に結合して存在している3...

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Published in炎症 Vol. 11; no. 1; pp. 59 - 63
Main Authors 吉田, 尚, 田幡, 昇, 平井, 愛山, 川野, 克己, 田村, 泰, 杉田, 増夫, 山本, 恭平, 福川, 辰之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 1991
日本炎症学会
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ISSN0389-4290
1884-4006
DOI10.2492/jsir1981.11.59

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Summary:強力な生理作用を持つthromboxane(TX)A2の血中動態は, 循環器系疾患などの病態を解明する上で注目されている. TXA2は, 半減期約32秒1)と不安定であり, かつ非酵素的にTXB2へと変化する. そのため現在まで, TXA2の動態を知る指標として安定なTXB2が測定されてきたが, 採血時における血小板活性化の影響を受けやすく, 病態を正確に捉えられない場合もあった. 11-dehydro-thromboxane B2(11DT)は, TXB2からの酵素代謝産物2,3)である. この代謝酵素, 11-OH-dehydrogenaseは, 肝臓, 肺組織2)に結合して存在している3)ため, 採血後のサンプルにおいては, TXB2から11DTは生成されないと考えられている. そのため, 11DTを測定することにより, TXA2の挙動を捉えようとする試み4~6)がたされるようになってきた. また, 11DTにはopen formとclosed form2)(図1)とがあり, この両者をまとめて測定する必要があると考えられた. 今回, 筆者らは, 11DTを簡便に抽出測定する方法について, 検討を行ったので報告する.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.11.59