木造住宅屋根部位の雪被害対策構法に関する研究

本研究では,屋根部位の雪被害対策の基本的枠組みを「移動・落下」及ぴ「融解・凍結」の2現象への対策とし,これらの構法的制御にかかわる実証的知見を得ることを目的としている。つまり,移動・落下および融解・凍結の現象にかかわる問題は,積雪の多少にかかわらず発生する積雪地一般の恒常的問題であり,屋根部位の耐雪化によって対応しなければならない基本的課題として特徴づけられると考えたからである。研究課題は,これら構法的対策の枝術化に必要な基礎的資料となると考えた4つの分析課題から構成し,それぞれ以下の分析を行なった。(1)屋根雪対策構法にかかわる基礎的問題住宅における雪問題の構造,屋根雪被害の実態,屋根雪の作...

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Published in住宅建築研究所報 Vol. 14; pp. 333 - 350
Main Authors 山川, 章三, 月館, 敏栄, 月永, 洋一, 渡辺, 正朋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般財団法人 住総研 1988
Housing Research Foundation "JUSOKEN"
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ISSN0286-5947
2423-9860
DOI10.20803/jusokenjo.14.0_333

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Summary:本研究では,屋根部位の雪被害対策の基本的枠組みを「移動・落下」及ぴ「融解・凍結」の2現象への対策とし,これらの構法的制御にかかわる実証的知見を得ることを目的としている。つまり,移動・落下および融解・凍結の現象にかかわる問題は,積雪の多少にかかわらず発生する積雪地一般の恒常的問題であり,屋根部位の耐雪化によって対応しなければならない基本的課題として特徴づけられると考えたからである。研究課題は,これら構法的対策の枝術化に必要な基礎的資料となると考えた4つの分析課題から構成し,それぞれ以下の分析を行なった。(1)屋根雪対策構法にかかわる基礎的問題住宅における雪問題の構造,屋根雪被害の実態,屋根雪の作用およびその地域性を考察し,屋根雪問題の構法的研究にかかわる基礎的条件を明らかにした。(2)屋根雪の滑動特性屋根葺材との関係から見た屋根雪の滑動特性についての実験分析であり,静的特性については屋根葺材と雪氷との静摩擦について,動的特性については滑走開始勾配による加速度並びに動摩擦の性状を明らかにした。(3)屋根雪の滑落堆積形状移動・落下による屋根雪の堆積形状に関する実測分析であり,屋根構法および雪気候要因から見た滑落雪の堆積パターン,落下速度および飛距離とこれらの関係を明らかにした。(4)屋根雪の融解・凍結現象融解・凍結現象の典型である「つらら」の発生およびその成長に関する実測分析であり,屋根面温度,小屋裏温度および自然温熱(気温,日照)の実態を把握すると共に,これらの関係から見た「つらら」の成長条件を明らかにした。
ISSN:0286-5947
2423-9860
DOI:10.20803/jusokenjo.14.0_333