医学生の臨床推論技能を高めるための教育プログラム開発 スクリプトを用いた疾患想起トレーニングの試み

臨床推論は重要な基本的診療技能であるが,卒前段階で十分に習得されているとは言い難い.我々はアクションリサーチの手法を用いて教材「症候足し算」を開発し,質的研究法により評価した. 1)本学5年生に対し,当科実習中の2週間に約300疾患の足し算を修得することを目標に自習させ,毎日確認と質疑応答を行った.アンケートと半構造化面接,参与観察によりプログラムを評価した. 2)学生は妥当性の高い鑑別疾患を挙げるようになった.本プログラムが学習態度を変容させたことが示唆された. 3)指導医が病態生理や臨床経験などを交えて語り直すことが学生の理解を深めたと思われた. 4)大量の疾患スクリプトを修得させることは...

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Published in医学教育 Vol. 42; no. 6; pp. 351 - 356
Main Authors 山城, 清二, 小林, 直子, 江尻, 浩子, 北, 啓一朗, 小浦, 友行, 黒岩, 麻衣子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医学教育学会 25.12.2011
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ISSN0386-9644
2185-0453
DOI10.11307/mededjapan.42.351

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Summary:臨床推論は重要な基本的診療技能であるが,卒前段階で十分に習得されているとは言い難い.我々はアクションリサーチの手法を用いて教材「症候足し算」を開発し,質的研究法により評価した. 1)本学5年生に対し,当科実習中の2週間に約300疾患の足し算を修得することを目標に自習させ,毎日確認と質疑応答を行った.アンケートと半構造化面接,参与観察によりプログラムを評価した. 2)学生は妥当性の高い鑑別疾患を挙げるようになった.本プログラムが学習態度を変容させたことが示唆された. 3)指導医が病態生理や臨床経験などを交えて語り直すことが学生の理解を深めたと思われた. 4)大量の疾患スクリプトを修得させることは卒前の臨床推論教育に有効な方法と考えられた.
ISSN:0386-9644
2185-0453
DOI:10.11307/mededjapan.42.351