心房内器質化血栓による脳塞栓症にMerciリトリーバーが有効であった1症例

症例は61歳,女性で,僧帽弁狭窄症に伴う左心房内血栓にて入院中であった.突然右片麻痺と失語を発症し,MRI拡散強調画像で左中大脳動脈領域の広範囲の急性期虚血所見を認めた.rt-PA静脈内全身投与の禁忌事項があったためMerciリトリーバーを使用し,発症から約2時間で再開通を得た.器質化した硬い血栓が回収できた.臨床症状は著明に改善し,翌日のMRIでは拡散強調画像での高信号域もほとんど消失していた.翌日に弁置換術と心房内血栓除去術を受け,神経後遺症を遺さずに回復した.心房内に形成された血栓は,器質化した場合,血栓溶解薬では効果がない.発症3時間以内でもrt-PA静脈投与よりも機械的血栓除去のほう...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 21; no. 1; pp. 50 - 54
Main Authors 原, 淑恵, 山下, 晴央, 山本, 浩隆, 松本, 優, 土井, 智文, 井上, 悟志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 20.01.2012
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.21.50_1

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Summary:症例は61歳,女性で,僧帽弁狭窄症に伴う左心房内血栓にて入院中であった.突然右片麻痺と失語を発症し,MRI拡散強調画像で左中大脳動脈領域の広範囲の急性期虚血所見を認めた.rt-PA静脈内全身投与の禁忌事項があったためMerciリトリーバーを使用し,発症から約2時間で再開通を得た.器質化した硬い血栓が回収できた.臨床症状は著明に改善し,翌日のMRIでは拡散強調画像での高信号域もほとんど消失していた.翌日に弁置換術と心房内血栓除去術を受け,神経後遺症を遺さずに回復した.心房内に形成された血栓は,器質化した場合,血栓溶解薬では効果がない.発症3時間以内でもrt-PA静脈投与よりも機械的血栓除去のほうが有効な場合もある.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.21.50_1