Aniridia-Wilms' tumor 症候群の1例

先天性眼奇形と46XX, t(11; 13)(p13; p11) の染色体異常を伴う Wilms 腫瘍の1例を経験した. 現在まで Aniridia-Wilms' tumor 症候群の本邦報告例は13例しかなく, 本症例は14例目であった。 患者は1歳女児で, 生下時体重2,480g, 生後3カ月で先天性散発性無虹彩症, 眼振, 緑内障, および黄斑部低形成症を認めている. 家族歴に, 無虹彩および他の奇形はみられない. 患児は1歳時, 腹部腫瘤を主訴に来院, Aniridia-Wilms' tumor 症候群と診断された. 左腎摘除術後, 腫瘍床には Linac 照射,...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 2; pp. 341 - 345
Main Authors 小倉, 朱生, 亀井, 義広, 藤田, 幸利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1987
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Summary:先天性眼奇形と46XX, t(11; 13)(p13; p11) の染色体異常を伴う Wilms 腫瘍の1例を経験した. 現在まで Aniridia-Wilms' tumor 症候群の本邦報告例は13例しかなく, 本症例は14例目であった。 患者は1歳女児で, 生下時体重2,480g, 生後3カ月で先天性散発性無虹彩症, 眼振, 緑内障, および黄斑部低形成症を認めている. 家族歴に, 無虹彩および他の奇形はみられない. 患児は1歳時, 腹部腫瘤を主訴に来院, Aniridia-Wilms' tumor 症候群と診断された. 左腎摘除術後, 腫瘍床には Linac 照射, および Acrinomycin-D, Vincristin の化学療法が, 間欠的に施行された. 術1年後, で対側への腫瘍再発は認められなかったが, 化学療法中 Staphylococcal scalded skin syndrome および肺炎を併発し死亡した. 先天性散発性無虹彩症を持つ, 特に11染色体に異常がある小児では, Wilms 腫瘍の発生を考慮し, US又はIVPによる生後早期からの follow up が重要であることを強調し, 報告した.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.78.2_341