日中クレンチングが疑われた顎関節症患者に対する行動変容を期待したスプリントの応用と総合的な治療成績

TCH(Teeth Contacting Habit)や日中クレンチングの為害性とその是正法の説明および咬合の変化が目的でない単純スプリントの装着が,TCH・日中クレンチングの意識化にどのような効果があるかアンケート調査を中心に検討した。 対象症例はTCH・日中クレンチングを行っていることが疑われた患者95名で,初診時に自覚に関するアンケートを実施した。次に単純スプリントを日中のみ2週間装着後に,その自覚の有無と自覚した場面に関するアンケートを実施した。その結果,装着前に自覚がなかった患者(24%)のうち,全員が装着後TCH・日中クレンチングを自覚した。装着前に「たまに」自覚していた患者(21...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 21; no. 2; pp. 150 - 155
Main Authors 阿部, 有吾, 渡邊, 友希, 船登, 雅彦, 古屋, 良一, 佐藤, 仁, 片岡, 竜太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2009
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.21.150

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Summary:TCH(Teeth Contacting Habit)や日中クレンチングの為害性とその是正法の説明および咬合の変化が目的でない単純スプリントの装着が,TCH・日中クレンチングの意識化にどのような効果があるかアンケート調査を中心に検討した。 対象症例はTCH・日中クレンチングを行っていることが疑われた患者95名で,初診時に自覚に関するアンケートを実施した。次に単純スプリントを日中のみ2週間装着後に,その自覚の有無と自覚した場面に関するアンケートを実施した。その結果,装着前に自覚がなかった患者(24%)のうち,全員が装着後TCH・日中クレンチングを自覚した。装着前に「たまに」自覚していた患者(21%)の85%,「しばしば」(31%)の87%,「いつも」(24%)の83%が新たな場面で自覚したと回答した。気づいた場面では,「考え事をしている時」(自覚した患者の51%),「電車に乗っている時」および「パソコンをしている時」(同28%),「書き物をしている時」(同23%)などが上位であった。 日中クレンチングの意識化と是正法の指導を含めた総合的な治療の効果を検討するために,クローズドロックと臨床的に診断された42例について,初診時から2週間ごとに自力無痛最大開口域の変化を観察し,他施設における結果と比較した。自力無痛最大開口域は初診時と2週後および2週後と4週後に有意に増加し,12週まで増加した。 したがって,説明に加えて,スプリントを短期間日中装着することにより,TCH・日中クレンチングを意識化しやすくなったことから,是正に有効である可能性が示唆された。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.21.150