スピーチエイド装着にともなう発音時口蓋帆挙筋活動の変化

スピーチエイド装着にともなう発音時の鼻咽腔閉鎖機能の改善に関わる生理学的背景を明らかにするために,口蓋裂術後鼻咽腔閉鎖不全症の改善のためにスピーチエイドを装着している症例を対象に,装着にともなう発音時口蓋帆挙筋活動の変化を検討した.被験者を,Bulb-PLP(Bulb attached Palatal Lift Prosthesis)型のスピーチエイドを装着している3例(Bulb群)ならびにPLP(PalatalLiftProsthesis)型スピーチエイドを装着している3例(PLP群)に分類し,装着時ならびに非装着時において,母音/ω/,および同母音を後続母音とする鼻音節,閉鎖性子音音節の表...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 24 - 31
Main Authors 高, 英保, 原, 久永, 森本, 知花, 舘村, 卓, 平田, 創一郎, 和田, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 31.01.1997
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.22.1_24

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Summary:スピーチエイド装着にともなう発音時の鼻咽腔閉鎖機能の改善に関わる生理学的背景を明らかにするために,口蓋裂術後鼻咽腔閉鎖不全症の改善のためにスピーチエイドを装着している症例を対象に,装着にともなう発音時口蓋帆挙筋活動の変化を検討した.被験者を,Bulb-PLP(Bulb attached Palatal Lift Prosthesis)型のスピーチエイドを装着している3例(Bulb群)ならびにPLP(PalatalLiftProsthesis)型スピーチエイドを装着している3例(PLP群)に分類し,装着時ならびに非装着時において,母音/ω/,および同母音を後続母音とする鼻音節,閉鎖性子音音節の表出時における口蓋帆挙筋活動を検討した.その結果,装置の種類にかかわらず装着時には,すべての被験者に共通して,非装着時での同0の音節における筋活動値(95%信頼区間)は非装着時よりも小さくなり,また95%信頼区間の大きさも非装着時よりも小さくなった.すなわち,鼻咽腔閉鎖不全の程度にかかわらず,装置装着時には,非装着時の筋活動との問の差分が鼻咽腔閉鎖機能の予備能となり,また語音毎に標的とする固有の筋活動を示すように調節されることが伺われ,これらのことが発音時におけるスピーチエイドの鼻咽腔閉鎖機能の改善に関与する可能性が示唆された.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.22.1_24