アセチルコリン冠動脈注により顕在化したQT延長症候群の蘇生例

症例は72歳, 女性. 失神の既往, 突然死の家族歴はない. レクリエーションダンス中に心室細動(VF)をきたし, 自動体外式除細動器(AED)により停止し, 当院に緊急搬送された. 来院時検査では電解質を含め明らかな異常所見は認めず, 心電図は洞調律, QTc 450msであった. 運動負荷試験ではQT延長(QTc 442ms→453ms)はなかったが, 非持続性多形性心室頻拍(poly VT)が出現した. 心臓カテーテル検査では左室壁運動は正常で, 冠動脈造影では優位狭窄を認めなかった. 冠攣縮除外のためアセチルコリン(Ach)を左冠動脈内に100µg注入したところ, 冠攣縮は認めなかった...

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Published in心臓 Vol. 42; no. SUPPL.2; pp. S2_95 - S2_99
Main Authors 八木原, 伸江, 真田, 明子, 相澤, 義房, 渡部, 裕, 渡邉, 達, 池主, 雅臣, 保坂, 幸男, 古嶋, 博司, 飯嶋, 賢一, 和泉, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.42.S2_95

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Summary:症例は72歳, 女性. 失神の既往, 突然死の家族歴はない. レクリエーションダンス中に心室細動(VF)をきたし, 自動体外式除細動器(AED)により停止し, 当院に緊急搬送された. 来院時検査では電解質を含め明らかな異常所見は認めず, 心電図は洞調律, QTc 450msであった. 運動負荷試験ではQT延長(QTc 442ms→453ms)はなかったが, 非持続性多形性心室頻拍(poly VT)が出現した. 心臓カテーテル検査では左室壁運動は正常で, 冠動脈造影では優位狭窄を認めなかった. 冠攣縮除外のためアセチルコリン(Ach)を左冠動脈内に100µg注入したところ, 冠攣縮は認めなかったがQTcが511msと延長しpoly VTが出現した. エピネフリン負荷試験でもQTcが630msと著明に延長し, poly VTも認められた. QT延長症候群と診断し, 心停止に対し植込み型除細動器(ICD)の植え込みとβ遮断薬を投与した. QT延長が明らかではなく, 失神歴や家族歴のない場合でもQT延長症候群が運動負荷や薬剤負荷により顕在化する例があり注意を要すると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.S2_95