血管内治療による脳動脈再開通療法の現状と今後(<特集>閉塞性脳血管障害における新たな展開)

2010年にMERCI retrieverがわが国で薬事承認され,mechanical thrombectomyが急性脳動脈閉塞に対する再開通療法として本格的に始まった.rt-PA静注や局所線溶に比べ短い時間で再開通を得ることが期待できるのが大きな利点である.2011年にはPenumbraシステムも承認され,欧米ではstent様構造を有するthrombectomy deviceも導入され,脳動脈閉塞に対する血管内再開通療法は急速に発展している.わが国への導入初期のMERCI retrieverによる再開通療法の成功率はTICI 2A以上75%,2B以上48%で,症候性頭蓋内出血6%,30日後の...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 21; no. 5; pp. 400 - 404
Main Authors 蔵本, 要二, 坂井, 千秋, 石川, 達也, 足立, 秀光, 山本, 司郎, 藤堂, 謙一, 山上, 宏, 坂井, 信幸, 今村, 博敏, 上野, 泰, 菊池, 晴彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 20.05.2012
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.21.400

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Summary:2010年にMERCI retrieverがわが国で薬事承認され,mechanical thrombectomyが急性脳動脈閉塞に対する再開通療法として本格的に始まった.rt-PA静注や局所線溶に比べ短い時間で再開通を得ることが期待できるのが大きな利点である.2011年にはPenumbraシステムも承認され,欧米ではstent様構造を有するthrombectomy deviceも導入され,脳動脈閉塞に対する血管内再開通療法は急速に発展している.わが国への導入初期のMERCI retrieverによる再開通療法の成功率はTICI 2A以上75%,2B以上48%で,症候性頭蓋内出血6%,30日後の転帰良好は28%,再開通を得られた場合は40%を超えた.rt-PA静注療法の適用率は急性脳動脈閉塞の5%程度といわれており,非適応例や無効例に対する血管内治療に大きな期待がかけられている.ただし,アクセス不能例や思わぬ血管損傷など不成功や合併症の危険があり,現在行われているMERCI retriever とPenumbra systemの市販後調査の結果が注目されている.血管内治療による再開通療法は,その安全性と有効性を検証しながら適切に導入することが望ましい.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.21.400