超音波Bモード・パルスドップラー複合装置を用いた移植腎血流測定法

パルスドップラー血流測定装置とリニア電子スキャン方式Bモード超音波断層像観測装置を組み合わせた複合装置である超音波 duplex system を用いて, 腎移植患者29症例で移植腎血流測定を試みその手技を確立した. 本著ではその手技の紹介と共に移植腎周囲, 腎門部, 腎内分枝などの諸血管から得られるドップラー血流パターンの差異の提示を行った. Bモードを同時併用しない従来よりのドップラー血流測定法に比較して本 duplex system 導入で可能になった点は, 単にドップラーシグナルを得るための腎血管の位置探策が熟練を要することなく容易で迅速に行えるようになっただけでなく, そのシグナルが...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 523 - 529
Main Authors 西岡, 伯, 植村, 匡志, 栗田, 孝, 国方, 聖司, 松浦, 健, 秋山, 隆弘, 金子, 茂男, 神田, 英憲, 石井, 徳味
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1986
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.77.4_523

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Summary:パルスドップラー血流測定装置とリニア電子スキャン方式Bモード超音波断層像観測装置を組み合わせた複合装置である超音波 duplex system を用いて, 腎移植患者29症例で移植腎血流測定を試みその手技を確立した. 本著ではその手技の紹介と共に移植腎周囲, 腎門部, 腎内分枝などの諸血管から得られるドップラー血流パターンの差異の提示を行った. Bモードを同時併用しない従来よりのドップラー血流測定法に比較して本 duplex system 導入で可能になった点は, 単にドップラーシグナルを得るための腎血管の位置探策が熟練を要することなく容易で迅速に行えるようになっただけでなく, そのシグナルがどこから得られた情報かということが正確に同定できるようになったこと, それに伴い腎内血行動態すなわち腎門部血流と腎内末梢循環を分けて知りうるようになったことなどである. これらから, 腎移植の臨床において本法は拒絶反応, 移植後 Acute tubular necrosis (以後ATNと略す), 腎動脈血栓症などにおける腎内血行動態の病態生理を追究するのに有用と考えられた, 更に, 臨床例の検討・動物実験を通じ本法による腎血流量の定量的測定, 腎皮質内微小循環の評価についてもその可能性を示唆し, duplex system は機能画像診断法とも呼ばれるべき新世代の超音波診断技術であることを強調した.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.77.4_523