腎細胞癌の脳転移
1973年7月から1983年6月までの11年間に, 慈恵大学病院で診療した腎細胞癌112例中9例, 8.0%に脳転移をみとめた. 原発巣の患側をみると, 左腎細胞癌では63例中6例, 9.5%, 右腎細胞癌では48例中3例, 6.3%に脳転移が生じており, 左腎細胞癌は右腎細胞癌に比べて, 脳転移を生じ易い傾向がみられた. 脳転移が診断された時期をみると, 初診時すでに脳転移のみとめられたのは2例であった. のこりの7例は腎摘除後に診断されており, その平均間隔は3年で, 7例中4例, 57%は術後3年以上経過していた. 9例中7例は肺転移を合併しており, 腎細胞癌の脳転移は, 肺転移巣より転...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 278 - 282 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1984
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Summary: | 1973年7月から1983年6月までの11年間に, 慈恵大学病院で診療した腎細胞癌112例中9例, 8.0%に脳転移をみとめた. 原発巣の患側をみると, 左腎細胞癌では63例中6例, 9.5%, 右腎細胞癌では48例中3例, 6.3%に脳転移が生じており, 左腎細胞癌は右腎細胞癌に比べて, 脳転移を生じ易い傾向がみられた. 脳転移が診断された時期をみると, 初診時すでに脳転移のみとめられたのは2例であった. のこりの7例は腎摘除後に診断されており, その平均間隔は3年で, 7例中4例, 57%は術後3年以上経過していた. 9例中7例は肺転移を合併しており, 腎細胞癌の脳転移は, 肺転移巣より転移する経路が最も多いと考えられた. 症状は運動障害が5例, 56%と最も多く, ついで頭痛, 嘔気, 言語障害, 視力障害, 排尿障害がみられ, 診断法としてはCTスキャンが最も有用であった. 治療法としては, 9例中4例に手術を行い, 最もよい効果がえられたが, 放射線療法や化学療法を行った4例に, 有効例はみられなかった. 9例の1年生存率は22%であり, 死亡した7例の脳転移診断から死亡までの期間は, 2カ月~4年6カ月, 平均11.4カ月であった. 予後に関与する因子として, 脳転移の診断時期と治療法がみとめられた. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.75.2_278 |