水泳中に生じた心停止から救命し, 診断にエピネフリン負荷試験が有用であったQT延長症候群の小児例

元来健康で特に既往のない13歳, 男児. 学校の水泳大会で競技中, ターンした際に全身のしびれを自覚し, その後意識消失, 間代性痙攣ののち心肺停止にいたった. 心肺蘇生を開始し, 自動体外式除動器(AED) 1回作動, その後心肺蘇生継続にて自発呼吸再開, 意識レベル回復し前医から搬送された. 前医受診時の心電図において右側胸部誘導でr'を認めるほかは明らかな異常はなく, QTc 440msとQT延長を認めなかった. また, 心エコーでは明瞭な基礎心疾患は認められなかった. AEDの記録にて心室細動(VF)が認められたことから, 電気的異常によるVFを生じる疾患を念頭に検査を施行し...

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Published in心臓 Vol. 42; no. SUPPL.2; pp. S2_89 - S2_94
Main Authors 松吉, 志麻, 原, 光彦, 深水, 誠二, 岩澤, 仁, 石川, 妙, 松下, 紀子, 高野, 誠, 北条, 林太郎, 仲井, 盛, 弓場, 隆生, 小宮山, 浩大, 野田, 彰浩, 辰本, 明子, 田辺, 康宏, 手島, 保, 櫻田, 春水, 西崎, 光弘, 平岡, 昌和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
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Summary:元来健康で特に既往のない13歳, 男児. 学校の水泳大会で競技中, ターンした際に全身のしびれを自覚し, その後意識消失, 間代性痙攣ののち心肺停止にいたった. 心肺蘇生を開始し, 自動体外式除動器(AED) 1回作動, その後心肺蘇生継続にて自発呼吸再開, 意識レベル回復し前医から搬送された. 前医受診時の心電図において右側胸部誘導でr'を認めるほかは明らかな異常はなく, QTc 440msとQT延長を認めなかった. また, 心エコーでは明瞭な基礎心疾患は認められなかった. AEDの記録にて心室細動(VF)が認められたことから, 電気的異常によるVFを生じる疾患を念頭に検査を施行したところ, エピネフリン負荷試験において著しいQT時間の延長が認められ, 先天性QT延長症候群と診断した. 同試験結果からLQT1を疑い遺伝子検索を行ったが遺伝子異常は同定されなかった. 現在運動制限, β遮断薬の内服にて経過観察中である. 小児の心肺停止例で診断にエピネフリン負荷試験が有用であった1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.S2_89