冠動脈バイパス術10年後に蛋白漏出性胃腸症を発症した1例

症例は77歳,男性.2006年に冠動脈バイパス手術の既往があり,以後外来通院中であった.2015年9月ごろから下腿浮腫が出現,10月になり胸部X線で胸水貯留を認めたため当科受診となった.心電図は心房細動ではあったが,ST-T変化は認めなかった.心エコー図では,左室駆出率は68%に保たれていたが,下大静脈は33 mmと著明に拡大しており,右心不全が疑われた.また,採血にて血清総蛋白3.8 g/dl,血清アルブミン1.8 g/dlと低蛋白血症を認め,蓄便中α-1アンチトリプシン検査および蛋白漏出シンチの結果より蛋白漏出性胃腸症と診断した.心エコー図上septal bounceの所見および,心臓カテ...

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Published in日本冠疾患学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 131 - 135
Main Authors 田中, 信大, 高橋, 聡介, 小金澤, 樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本冠疾患学会 2018
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ISSN1341-7703
2187-1949
DOI10.7793/jcoron.24.17-00015

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Summary:症例は77歳,男性.2006年に冠動脈バイパス手術の既往があり,以後外来通院中であった.2015年9月ごろから下腿浮腫が出現,10月になり胸部X線で胸水貯留を認めたため当科受診となった.心電図は心房細動ではあったが,ST-T変化は認めなかった.心エコー図では,左室駆出率は68%に保たれていたが,下大静脈は33 mmと著明に拡大しており,右心不全が疑われた.また,採血にて血清総蛋白3.8 g/dl,血清アルブミン1.8 g/dlと低蛋白血症を認め,蓄便中α-1アンチトリプシン検査および蛋白漏出シンチの結果より蛋白漏出性胃腸症と診断した.心エコー図上septal bounceの所見および,心臓カテーテル検査では右室圧波形上のdip and plateau波形から,収縮性心膜炎と診断した.冠動脈バイパス手術の既往がある方が,収縮性心膜炎に伴う右心不全により蛋白漏出性胃腸症を発症した1例を経験したので報告する.
ISSN:1341-7703
2187-1949
DOI:10.7793/jcoron.24.17-00015