肺空洞病変から空気塞栓症を発症した1例

症例は70歳台の男性で,肺Mycobacterium avium complex(MAC)症による空洞性病変を伴う肺炎のため人工呼吸管理を要した。第5病日に,従圧式換気中に吸気圧設定を上昇させ,体位変換を行った直後に突然,無脈性電気活動となった。心停止の原因は不明のまま34分後に死亡した。死亡時画像診断全身CT検査を行い,広範な空気塞栓症が明らかになった。本症例では肺空洞病変が空気の流入源となり,陽圧換気に起因して多量の空気が肺静脈に流入したと考えられた。肺空洞病変を有する症例に陽圧換気を行う際は,過剰な鎮静によるリスクを考慮しつつ,気道内圧上昇を防ぐ工夫が求められる。...

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Published in蘇生 Vol. 44; no. 1; pp. 13 - 17
Main Authors 若松, 弘也, 山本, 花奈子, 田村, 尚, 津田, 小緒里, 松本, 美志也, 角, 千恵子, 棟久, 槙凜子, 福本, 剛之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.04.2025
Subjects
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ISSN0288-4348
1884-748X
DOI10.11414/jjreanimatology.44.1_13

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Summary:症例は70歳台の男性で,肺Mycobacterium avium complex(MAC)症による空洞性病変を伴う肺炎のため人工呼吸管理を要した。第5病日に,従圧式換気中に吸気圧設定を上昇させ,体位変換を行った直後に突然,無脈性電気活動となった。心停止の原因は不明のまま34分後に死亡した。死亡時画像診断全身CT検査を行い,広範な空気塞栓症が明らかになった。本症例では肺空洞病変が空気の流入源となり,陽圧換気に起因して多量の空気が肺静脈に流入したと考えられた。肺空洞病変を有する症例に陽圧換気を行う際は,過剰な鎮静によるリスクを考慮しつつ,気道内圧上昇を防ぐ工夫が求められる。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology.44.1_13