鼻咽腔閉鎖機能と口蓋帆挙筋の組織化学的所見との検討

口蓋閉鎖術後における鼻咽腔閉鎖機能と口蓋帆挙筋の組織化学的所見との関係を検討する目的から,咽頭弁移植術の適応となった8例を対象に鼻咽腔内視鏡所見と口蓋帆挙筋の組織化学的所見について検索した.対象症例は咽頭弁移植術の術前に鼻咽腔閉鎖機能を鼻咽腔内視鏡により検索した後,術中に口蓋帆挙筋を採取し凍結固定を行い,クリオスタット標本を作製してH-E染色,ATPase染色を施し鏡検した. その結果は以下の通りであった. 1.軟口蓋の挙上運動が良好で,鼻咽腔閉鎖様運動が「coronal pattern」を示した症例は,組織化学的に筋線維はType1,2A,2B線維により構成されモザイク状を呈していた. 2....

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 24; no. 1; pp. 61 - 69
Main Authors 原, 久永, 佐藤, 耕一, 高田, 訓, 和田, 健, 舘村, 卓, 大野, 朝也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 30.04.1999
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.24.1_61

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Summary:口蓋閉鎖術後における鼻咽腔閉鎖機能と口蓋帆挙筋の組織化学的所見との関係を検討する目的から,咽頭弁移植術の適応となった8例を対象に鼻咽腔内視鏡所見と口蓋帆挙筋の組織化学的所見について検索した.対象症例は咽頭弁移植術の術前に鼻咽腔閉鎖機能を鼻咽腔内視鏡により検索した後,術中に口蓋帆挙筋を採取し凍結固定を行い,クリオスタット標本を作製してH-E染色,ATPase染色を施し鏡検した. その結果は以下の通りであった. 1.軟口蓋の挙上運動が良好で,鼻咽腔閉鎖様運動が「coronal pattern」を示した症例は,組織化学的に筋線維はType1,2A,2B線維により構成されモザイク状を呈していた. 2.軟口蓋の挙上運動が,「coronal to circular」または「circular to sagital」の閉鎖様運動を示した症例は,組織化学的に多様な所見が観察された. 3.軟口蓋の挙上運動が認められなかった症例では,採取した組織内に筋線維はほとんど存在しなかった.本研究より鼻咽腔内視鏡による鼻咽腔閉鎖所見と口蓋帆挙筋の組織化学的所見はほぼ一致していることが明らかとなった.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.24.1_61