長期生存が得られた上行結腸腺扁平上皮癌の1例

上行結腸に発症した腺扁平上皮癌を経験したため報告する.症例は74歳の男性で全身倦怠感のために受診し,著明な貧血を認め入院となった.精査の結果,上行結腸に全周性の2型腫瘍を認め,生検で扁平上皮癌と診断した.遠隔転移を認めなかった事から根治手術適応と判断し,当科で結腸右半切除術およびリンパ節郭清を行った.病理診断では,組織型は腺扁平上皮癌であり,進行度はpT3 N0 M0 StageIIであった.再発転移高リスク群と考え,術後補助化学療法としてUFT/LVの内服を行った.術後4年以上を経過し,再発転移なく良好に経過している.大腸原発の腺扁平上皮癌は非常に稀で,これまでの報告例のほとんどが診断時に高...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 92 - 97
Main Authors 永易, 希一, 中谷, 晃典, 柵山, 尚紀, 佐藤, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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Summary:上行結腸に発症した腺扁平上皮癌を経験したため報告する.症例は74歳の男性で全身倦怠感のために受診し,著明な貧血を認め入院となった.精査の結果,上行結腸に全周性の2型腫瘍を認め,生検で扁平上皮癌と診断した.遠隔転移を認めなかった事から根治手術適応と判断し,当科で結腸右半切除術およびリンパ節郭清を行った.病理診断では,組織型は腺扁平上皮癌であり,進行度はpT3 N0 M0 StageIIであった.再発転移高リスク群と考え,術後補助化学療法としてUFT/LVの内服を行った.術後4年以上を経過し,再発転移なく良好に経過している.大腸原発の腺扁平上皮癌は非常に稀で,これまでの報告例のほとんどが診断時に高度進行例であり,予後不良であった.自験例は手術を含めほぼ良好な経過で長期生存が得られたため,文献的考察を含め報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.92