上顎骨延長術(REDシステム)後にプレート固定を応用した右側唇顎口蓋裂症例

上顎骨の著しい劣成長を伴う右側唇顎口蓋裂患者において,REDシステムによる上顎骨延長術を施術した後に,延長装置の早期撤去と延長後変化を避けるためにプレート固定を行った症例を報告する.その際延長時の歯の著明な変化を避けるためにアーチワイヤーと歯列を一塊として結紮したことにより,上顎骨の骨延長を円滑に進めた.延長開始前から動的治療終了(延長終了9か月)時の上顎骨および上顎骨に対する歯の移動様相を明確にし,その有効性の検討を行った. 手術(上顎骨延長術)時年齢16歳3か月の男子で,術前に顎裂部自家腸骨細片移植術を行っている.骨延長術はREDシステムを応用し,延長装置を上顎歯列に固定した後High L...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 91 - 100
Main Authors 近藤, 昭二, 渡邉, 武寛, 岡藤, 範正, 大嶋, 嘉久, 栗原, 三郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 30.04.2007
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.32.1_91

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Summary:上顎骨の著しい劣成長を伴う右側唇顎口蓋裂患者において,REDシステムによる上顎骨延長術を施術した後に,延長装置の早期撤去と延長後変化を避けるためにプレート固定を行った症例を報告する.その際延長時の歯の著明な変化を避けるためにアーチワイヤーと歯列を一塊として結紮したことにより,上顎骨の骨延長を円滑に進めた.延長開始前から動的治療終了(延長終了9か月)時の上顎骨および上顎骨に対する歯の移動様相を明確にし,その有効性の検討を行った. 手術(上顎骨延長術)時年齢16歳3か月の男子で,術前に顎裂部自家腸骨細片移植術を行っている.骨延長術はREDシステムを応用し,延長装置を上顎歯列に固定した後High Le Fort I型骨切り術を施術し,初期延長量として2.Omm延長し,その後1.Omm/日の割合で9日間延長を行った.延長終了8日後にプレート固定を行い動的治療終了時までの上顎骨と歯の移動様相をセファロトレース上で検討した. 延長終了時,上顎骨の延長量は前方9.lmm,下方5.7mmであった.延長後変化量は延長1か月後で後方2.9mm,上方3.Ommの移動を認めた.延長終了1か月時から動的治療終了時の延長後変化は認められなかった.術中の歯の移動は,術前から延長終了時にかけて12mmの挺出が認められ,延長終了時から延長終了1か月時にかけて1.4mmの唇側傾斜と1.Ommの圧下が認められた.延長終了1か月時から動的治療終了時にかけて1.5mmの挺出が認められた.若干の変化は認めたものの,大きな変化は認められなかった.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.32.1_91