急性腹部大動脈閉塞を発症した左房内粘液腫瘍の1例

症例は, 60歳, 女性. 突然両下肢脱力感を呈し動けなくなったため, 当院救急外来を受診した. 来院時両下肢の運動, 知覚麻痺を認め, 両側下肢動脈の拍動は大腿動脈以下触知不良, 胸部聴診上明らかな心雑音は聴取されなかった. 造影CT検査を施行し, 内腸骨動脈分岐直前の総腸骨動脈にいたるまで, 腹部大動脈に血流の途絶を認めた. 大動脈造影でも同所見を認め, 緊急で両側大腿動脈からのFogartyカテーテルによる腹部大動脈閉塞解除術を施行した. 両側よりゼリー状の塞栓子を除去した. 直後の心臓超音波検査上, 左房中隔基部寄りに可動性良好な有茎性の腫瘍を認めたため, 緊急左房腫瘍摘出術を施行した...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 8; pp. 1138 - 1141
Main Authors 土井, 信一郎, 由宇, 博重, 横松, 友紀, 小田切, 史徳, 山瀬, 美紀, 一瀬, 哲夫, 河野, 安伸, 谷本, 享生, 大井川, 哲也, 加藤, 洋一, 中里, 祐二, 岩村, 泰, 梶本, 完, 森田, 照正, 岩村, 弘志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
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Summary:症例は, 60歳, 女性. 突然両下肢脱力感を呈し動けなくなったため, 当院救急外来を受診した. 来院時両下肢の運動, 知覚麻痺を認め, 両側下肢動脈の拍動は大腿動脈以下触知不良, 胸部聴診上明らかな心雑音は聴取されなかった. 造影CT検査を施行し, 内腸骨動脈分岐直前の総腸骨動脈にいたるまで, 腹部大動脈に血流の途絶を認めた. 大動脈造影でも同所見を認め, 緊急で両側大腿動脈からのFogartyカテーテルによる腹部大動脈閉塞解除術を施行した. 両側よりゼリー状の塞栓子を除去した. 直後の心臓超音波検査上, 左房中隔基部寄りに可動性良好な有茎性の腫瘍を認めたため, 緊急左房腫瘍摘出術を施行した. 急性腹部大動脈閉塞は稀な疾患であるが, その原因として, 左房内腫瘍由来の塞栓を鑑別に含む必要があると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.1138