抗菌薬併用における postantibiotic effect の基礎的検討 Staphylococcus aureus FDA209P へのペニシリンとゲンタマイシン併用の場合
「緒言」postantibiotic effect(PAE)は, 抗菌薬と微生物が短時間接触した後にみられる増殖遅延現象で, 抗菌薬のsubminimal inhibitory concentration(sub-MIC)効果によらないものと定義される1, 2). 具体的には, 抗菌薬を除去した後, 微生物が10倍(1 log)に増殖する時間から抗菌薬と接触していないコントロールの微生物が1 log増殖する時間を差し引いた値(時間)として表わされる1). PAEを示す抗菌薬では, 有効濃度以下になっても抗菌効果が期待できるため, 投薬間隔を延長することができる. 抗菌薬の投与量や投与間隔など投...
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Published in | 医療薬学 Vol. 34; no. 2; pp. 143 - 147 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2008
日本医療薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.34.143 |
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Summary: | 「緒言」postantibiotic effect(PAE)は, 抗菌薬と微生物が短時間接触した後にみられる増殖遅延現象で, 抗菌薬のsubminimal inhibitory concentration(sub-MIC)効果によらないものと定義される1, 2). 具体的には, 抗菌薬を除去した後, 微生物が10倍(1 log)に増殖する時間から抗菌薬と接触していないコントロールの微生物が1 log増殖する時間を差し引いた値(時間)として表わされる1). PAEを示す抗菌薬では, 有効濃度以下になっても抗菌効果が期待できるため, 投薬間隔を延長することができる. 抗菌薬の投与量や投与間隔など投与計画において, 考慮すべき重要なファクターとしてPAEがある. このため近年, PAEを考慮して抗菌薬が投与されるようになってきた. 一方, 抗菌薬併用療法は, 起因菌の同定や抗菌活性の結果が出る前に行う緊急治療の場合あるいは通常量の単剤では効果がない場合などに用いられる3). 抗菌薬の併用は, 抗菌力の相乗的あるいは付加的増大, 抗菌領域の拡張, 耐性菌出現の防止, 副作用の軽減を期待して行われる4). 今後, 易感染者の増大や耐性菌の増加などにより抗菌薬併用の機会が増えると考えられる. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.34.143 |