大腿骨転子部骨折手術により生じた医原性深大腿動脈仮性動脈瘤の2手術例

大腿骨転子部骨折手術により発症した仮性動脈瘤は稀な合併症である.症例1は76歳男性で,右大腿骨転子下骨折術後7カ月で右大腿部の拍動性腫瘤を指摘された.造影CTで右深大腿動脈分岐から8 cm抹消に瘻孔を有する径13 cmの仮性動脈瘤を認めた.手術は深大腿動脈遮断後に,仮性動脈瘤切除し瘻孔を縫合閉鎖した.症例2は68歳男性で,左大腿骨転子下骨折術後2カ月を経過した後に左大腿部の振戦を伴う拍動性腫瘤を指摘された.造影CTで左深大腿動脈分岐から5 cm付近に径15 cmの巨大血腫を認めた.手術で,深大腿動脈と隣接した深部静脈の分枝との間での動静脈瘻形成と,その後面の巨大仮性瘤を確認し,仮性動脈瘤切除し...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 25; pp. 373 - 375
Main Authors 村上, 栄司, 東, 健一郎, 荒川, 友希, 村川, 眞司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2017
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Summary:大腿骨転子部骨折手術により発症した仮性動脈瘤は稀な合併症である.症例1は76歳男性で,右大腿骨転子下骨折術後7カ月で右大腿部の拍動性腫瘤を指摘された.造影CTで右深大腿動脈分岐から8 cm抹消に瘻孔を有する径13 cmの仮性動脈瘤を認めた.手術は深大腿動脈遮断後に,仮性動脈瘤切除し瘻孔を縫合閉鎖した.症例2は68歳男性で,左大腿骨転子下骨折術後2カ月を経過した後に左大腿部の振戦を伴う拍動性腫瘤を指摘された.造影CTで左深大腿動脈分岐から5 cm付近に径15 cmの巨大血腫を認めた.手術で,深大腿動脈と隣接した深部静脈の分枝との間での動静脈瘻形成と,その後面の巨大仮性瘤を確認し,仮性動脈瘤切除し動静脈瘻孔を縫合閉鎖した.2症例ともに,大腿骨転子部骨折手術の際に大腿骨長軸方向に刺入したステンレスガイドワイヤーが骨髄から逸脱したことにより深大腿動脈が損傷したと思われた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.16-00077