濃厚血小板保存用ポリ塩化ビニル製バッグの最適表面積比

濃厚血小板(以下PC)を保存する場合, バッグの通気性を良くするとpHの低下が抑えられ, 血小板の輸注生存率1)~5)や機能の保持3〕4)6)が改善されることが知られている. 従ってバッグの通気性は保存血小板の品質を規定する重要な因子の一つである. バッグの通気性を良くする方法としては, 材質や厚さが一定の場合, その表面積を大きくすることであるが, 現在我が国で使用されているポリ塩化ビニル製バッグは長時間保存すると可塑剤であるdi-(2-ethylhexyl)phthalate(DEHP)が溶出し, これが血小板の機能を低下させることが知られている7)8)ため, あまり表面積を大きくすること...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 37 - 42
Main Authors 大軒, 子郎, 杉本, 昭子, 冨田, 智津子, 山口, 英夫, 大久保, 康人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 01.04.1990
日本輸血学会
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Summary:濃厚血小板(以下PC)を保存する場合, バッグの通気性を良くするとpHの低下が抑えられ, 血小板の輸注生存率1)~5)や機能の保持3〕4)6)が改善されることが知られている. 従ってバッグの通気性は保存血小板の品質を規定する重要な因子の一つである. バッグの通気性を良くする方法としては, 材質や厚さが一定の場合, その表面積を大きくすることであるが, 現在我が国で使用されているポリ塩化ビニル製バッグは長時間保存すると可塑剤であるdi-(2-ethylhexyl)phthalate(DEHP)が溶出し, これが血小板の機能を低下させることが知られている7)8)ため, あまり表面積を大きくすることには問題がある. 即ち現行のバッグは太き過ぎても小さ過ぎてもPCの品質の低下が予想されるが, ではどの位の表面積を有するバッグが最適なのかを数量的に明らかにした報告はまだない. そこで我々は現行のポリ塩化ビニル製バッグでPCを保存した場合, 血小板の品質を最良に保つために必要なバッグの表面積をきめるため, 表面積の異なるバッグにPCを保存し, 3日後の品質や機能の比較を行うことにより, 単位血小板当りの最適表面積(最適表面積比)を決定したので報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.36.37