メダカの鰓組織への銅蓄積に対する共存亜鉛の影響

本研究では水生生物への銅蓄積に対して共存する亜鉛が及ぼす影響を明らかにするために、ヒメダカ(Oryzias latipes)を用いた曝露実験を行った。まず亜鉛曝露実験を行い鰓組織への亜鉛の蓄積を検証したところ、17.6−22.3 µg g−1 の範囲で検出され、これは対照群(18.5 ± 4.5 µg g−1)とほぼ同レベルであったことから、亜鉛の蓄積性や毒性が低いことが示された。つぎに、銅曝露実験を亜鉛の添加(100 µg-Zn L−1)、無添加条件下で行ったところ、両実験区で銅の鰓組織への蓄積やメダカの死亡が認められた。鰓組織中の銅濃度は亜鉛無添加条件下では15.2−156.9 µg g−...

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Published in環境と安全 Vol. 9; no. 1; pp. 7 - 13
Main Authors 篠原, 亮太, 小林, 淳, 三小田, 憲史, 辛木, 景亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大学等環境安全協議会 2018
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ISSN1884-4375
2186-3725
DOI10.11162/daikankyo.18H0201

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Summary:本研究では水生生物への銅蓄積に対して共存する亜鉛が及ぼす影響を明らかにするために、ヒメダカ(Oryzias latipes)を用いた曝露実験を行った。まず亜鉛曝露実験を行い鰓組織への亜鉛の蓄積を検証したところ、17.6−22.3 µg g−1 の範囲で検出され、これは対照群(18.5 ± 4.5 µg g−1)とほぼ同レベルであったことから、亜鉛の蓄積性や毒性が低いことが示された。つぎに、銅曝露実験を亜鉛の添加(100 µg-Zn L−1)、無添加条件下で行ったところ、両実験区で銅の鰓組織への蓄積やメダカの死亡が認められた。鰓組織中の銅濃度は亜鉛無添加条件下では15.2−156.9 µg g−1、亜鉛添加条件下で21.9−86.3 µg g−1 の範囲であり、亜鉛の添加によって銅の蓄積量が減少する傾向にあった。また、曝露水中の銅濃度と鰓組織中の銅濃度から非線形回帰モデルを用いて銅の鰓組織への最大蓄積量(Bmax)を算出したところ、亜鉛無添加条件下では138.4 µg g−1、亜鉛添加条件下では77.0 µg g−1 であった。本研究の結果から、亜鉛は生物リガンドを巡って銅と競合することによって、銅の水生生物への蓄積を低下させる作用をもつことが示唆された。
ISSN:1884-4375
2186-3725
DOI:10.11162/daikankyo.18H0201