河川氾濫を対象とした洪水リスクに対する適応策評価
気候モデルの出力値を洪水モデルに入力した結果から気候変動による将来の被害額を全国規模で求めた。複数の適応策の被害軽減額を求め,比較を行うとともに地域性について評価し,さらに,2020 年以降の洪水被害を例に適応策と適応能力の変化について考察した。ターゲット年代(2050 年,2100 年),温暖化+社会経済シナリオ(RCP2.6 + SSP1,RCP8.5+SSP5),各再現期間(30,50,100,200 年),気候モデル(国内 2,豪州 1,仏国 1,独国 1)と 2000 年の各再現期間と気候モデルの組み合わせ計算を実施した。さらに,適応策として(適応策を含む),土地利用規制,ピロティ建...
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Published in | 地球環境 Vol. 28; no. 1; pp. 77 - 83 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国際環境研究協会
2023
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Summary: | 気候モデルの出力値を洪水モデルに入力した結果から気候変動による将来の被害額を全国規模で求めた。複数の適応策の被害軽減額を求め,比較を行うとともに地域性について評価し,さらに,2020 年以降の洪水被害を例に適応策と適応能力の変化について考察した。ターゲット年代(2050 年,2100 年),温暖化+社会経済シナリオ(RCP2.6 + SSP1,RCP8.5+SSP5),各再現期間(30,50,100,200 年),気候モデル(国内 2,豪州 1,仏国 1,独国 1)と 2000 年の各再現期間と気候モデルの組み合わせ計算を実施した。さらに,適応策として(適応策を含む),土地利用規制,ピロティ建築,治水水準向上(堤防かさ上げ),田んぼダム,ため池を考慮した。日本全国の洪水氾濫被害額計算を,これら 2×2×4×5×6+4×5×6=600 通り実施した。空間解像度は250 m である。ゼロメートル地帯やマイナスメートル地帯の高層建築の低層を住居にしないことは,治水の効果を大きくする。最大利用を仮定した田んぼダムとため池は,日本全体では大きな効果を期待できないが,一部地域ではある程度の効果を持つ。RCP8.5 と RCP2.6 の被害額の差の平均を緩和策の効果とした場合,緩和策は土地利用規制と同程度を有している。 |
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ISSN: | 1342-226X 2758-3783 |
DOI: | 10.57466/chikyukankyo.28.1_77 |